著者
外間 敦 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.643-646, 2017

Chronic expanding hematoma(CEH)は画像上,悪性軟部腫瘍との鑑別がしばしば困難である.今回,悪性軟部腫瘍と鑑別を要したCEHの2例を報告する.【症例1】82歳,女性.3年前より徐々に増大する左大腿部腫瘤を主訴に近医を受診した.僧帽弁置換術の既往があり,ワーファリンを内服していた.MRIで左大腿直筋内に6×3×10cmのT1強調像で内部不均一な等~高信号,T2強調像で低~高信号の混在した不均一な信号を示し,造影MRIでは内部に造影効果が不均一な腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【症例2】56歳,男性.5年前に左臀部を鉄骨の間に挟まれた.その後より左臀部に腫瘤を自覚.腫瘤が増大したため近医を受診した.MRIで左殿部筋膜下に13×8.5×18cmのT1で低信号,T2で等信号と高信号が混在した信号を示す腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【考察】CEHの診断には画像所見とともに病歴や病理検査も含めて総合的に判断する必要がある.