著者
石川 樹 當銘 保則 大城 裕理 青木 佑介 山城 正一郎 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.765-768, 2021

<p>【はじめに】当院での骨原発Langerhans cell histiocytosis(LCH)の単一病変(Single system single site: SS-s)と多発病変(Single system multi-site: SS-m)の診断と予後に有用な因子に関して調査した.【対象と方法】2004年1月から2020年1月までに当院で診断された骨原発LCH 14例を対象とした.評価項目は年齢,性別,発生部位,CRP値,FDG-PETのSUVmax値,腫瘍体積とした.統計はStudent t検定とカイ二乗検定を使用した.【結果】SS-sは10例(男性8例),SS-mは4例(男性2例)で,平均観察期間は40ヵ月であった.発生部位は頭蓋骨と脊椎に多く,SS-sとSS-mの平均年齢は各々9.0歳と5.0歳,平均CRP値(mg/dL)は0.71と0.5,平均SUVmax値は8.7と9.8,平均腫瘍体積(mm3)は3353.4と4694.1であった.2群間で有意な因子を認めなかった.診断後5ヵ月でSS-sの1例に再発を認めたが,化学療法で寛解した.最終観察時,全例で寛解を維持していた.【考察】本研究では1例で再発を認め,慎重な経過観察を要すると考えられた.SS-sとSS-mの2群間の診断に有用な因子を認めず,両者の鑑別にはFDG-PETなどの全身検索が必要であると考えられた.</p>
著者
蛯子 隼 金城 政樹 村上 弘 赤嶺 良幸 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.884-887, 2020

<p>腱黄色腫は家族性高コレステロール血症に伴い出現する報告が多い.高コレステロール血症を伴わない,多発性腱黄色腫の1例を経験したので報告する.症例は46歳,女性.8年前に両側手関節部と下腿後方の腫瘤に気付いた.2か月前に右手関節部腫瘤が書字やパソコン操作に支障をきたし近医受診,当院へ紹介された.初診時身体所見で両側手関節掌尺側に弾性・硬,可動性に乏しい腫瘤があり,両側アキレス腱および腓骨筋腱の肥厚を認めた.血液検査で高コレステロール血症はなく,高トリグリセライド血症を認めた.MRIで尺側手根屈筋と連続し,T1・T2強調画像で低信号,被膜のみ造影効果を示す腫瘍を認めた.切開生検で腱黄色腫と診断した後に高トリグリセライド血症に対し,脂質代謝コントロールを行い右手関節部の腫瘤を可及的に切除した.術後5か月で関節可動域・握力に術前と大きな変化はなく,書字・パソコン操作時の支障は消失した.</p>
著者
藤本 泰毅 西田 康太郎 東 千夏 比嘉 浩太郎 翁長 正道 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.864-866, 2020

<p>両側同時TKAは1回の入院・麻酔,医療コストの削減といった長所がある一方で,手術時間の延長,合併症の報告がある.当科における両側同時TKAの臨床成績を報告する.対象は2011年1月から2018年6月までに両側同時TKAを行った9例(男性4例,女性5例),原疾患は変形性膝関節症4例,関節リウマチ4例,特発性骨壊死1例,手術時年齢は63歳だった.調査項目は,平均手術時間,平均入院日数,術前後のJOA score,大腿骨脛骨角,膝関節ROM,術後の合併症とした.手術時間は平均251分,入院日数は34.6日だった.術前後でJOA scoreは43点が77点に,FTAは184°が177°に,ROMは伸展/屈曲-17°/102°が-2°/108°に改善した.術後の合併症は,表層感染1例,深部静脈血栓症2例,術後貧血1例等6例に認めた.両側同時TKAを安全に行うには年齢や合併症などを考慮しなくてはならない.</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 大城 裕理 砂川 秀之 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.594-597, 2020
被引用文献数
1

<p>51歳男性,ホテル勤務.バイク走行中に転倒受傷し,近医に救急搬送された.単純X線像で左肩関節後方脱臼骨折を指摘された.静脈麻酔下に脱臼整復を試みるも整復困難であった.受傷翌日に全身麻酔下に螺子2本を用いた観血的脱臼整復術及び骨接合術を施行し,術後三角巾・バストバンドを用いた内旋位固定が行われた.術後14日目,外来受診時に再脱臼と骨折を認めたため当科へ紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可,単純X線像,CTで転位・再脱臼を認めた.初回手術後3週目で観血的脱臼整復・髄内釘を用いた骨接合を行った.術後8週間は外転装具を用いて外旋位固定し,早期より手指・肘の拘縮予防・肩甲帯リラクゼーションを行った.ROM訓練は術後4週目から行った.受傷後4カ月で復職し,受傷後20カ月で単純X線像上再脱臼なく,ROMは屈曲125°,外旋30°,内旋L5であった.</p>
著者
津覇 雄一 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 大城 裕理 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.570-573, 2020

<p>高齢者の腱板断裂を伴う肩関節前方脱臼の1症例を経験したので報告する.79歳,女性,無職.バイク走行中に転倒して受傷,同日救急搬送された.単純X線像で右肩関節前方脱臼を認め,同日徒手整復された.整復後に撮影された単純X線像で肩甲関節窩小骨片を伴う前方関節唇損傷を認めたが,骨片が小さいため保存療法が行われた.受傷後5ヵ月で右肩痛・挙上困難が持続するため近医を受診した.肩甲関節窩骨欠損を伴う右肩関節亜脱臼と診断され当科へ紹介された.当院初診時,肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲40°,外旋-45°,内旋不可で,単純X線像では肩甲関節窩骨折部の骨欠損増大,立位で亜脱臼位となる不安定性を認めた.手術では骨頭軟骨損傷を認めたため人工骨頭置換,肩甲関節窩へ切除骨頭を用いた骨移植,腱板修復術を行った.術後8週間は外転装具を用いて固定を行った.術後28ヵ月で肩関節可動域は屈曲125°,外旋30°,内旋L5,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)は81点まで改善し,単純X線像では亜脱臼を認めていない.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 大城 裕理 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.585-589, 2020

<p>症例1,38歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時Japan Coma Scale(JCS)200,外傷性くも膜下出血(SAH),びまん性軸索損傷(AI),左上腕骨骨折と診断.全身状態不良のため上腕骨骨折は保存療法を行った.受傷後9年で中等度高次脳機能障害が残存し,肩関節可動域(ROM)は屈曲120°,外旋15°,障害者就労支援施設に勤務している.症例2,19歳,男性,大学生.バイク走行中に転倒し受傷.救急搬送時JCS 200,SAH,AI,血気胸,頭蓋骨・右肩関節脱臼骨折と診断.受傷後22日目に観血的脱臼整復術を施行した.術後1年で復学し,術後33カ月で骨頭・関節窩変形を認め,ROMは屈曲140°,外旋60°,内旋T12レベルであった.症例3,24歳,男性,会社員.歩行中に車にはねられ受傷.救急搬送時JCS 100,SAH,頚椎歯突起・左下腿・左上腕骨骨折と診断.受傷後4日目に骨接合術を施行した.術後1年で復職し,術後2年でROMは屈曲140°,外旋75度であった.</p>
著者
大槻 健太 金谷 文則 山口 浩 親富祖 徹 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.340-343, 2020
被引用文献数
1

<p>【目的】髄内釘(ナカジマメディカル社 ニューストレートネイル®)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】髄内釘を用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった75例75肩(男性21肩,女性54肩)を対象とした.年齢は35~91歳(平均70歳),骨折型は2-part 33肩,3-part 29肩,4-part 13肩,経過観察期間は6~53カ月(平均13.4カ月)であった.調査項目はX線学的評価,ROM(屈曲・外旋・内旋)とした.合併症,年齢,骨折型とROMについて検討した.【結果】平均ROMは屈曲119°,外旋39°,内旋4.2点であった.合併症発生率は20%(骨頭壊死6肩,大結節障害3肩,螺子骨頭穿破2肩,螺子逸脱・骨頭壊死と螺子逸脱の合併・内反変形各1肩)であった.年齢と屈曲・外旋角度で負の相関関係を認めた.骨折型は各part骨折間ではROMに明らかな有意差を認めなかったが,75歳以上の4-part骨折では有意に屈曲が低下していた.【結語】髄内釘の治療成績は比較的良好であったが,高齢者で術後ROMは低下していた.</p>
著者
親富祖 徹 金谷 文則 山口 浩 大槻 健太 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.344-348, 2020

<p>【目的】上腕骨近位部骨折用DePuy-Synthes社製PHILOS<sup>TM</sup>プレート,(以下PHILOS)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】PHILOSを用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった65例65肩(男性16肩,女性49肩),年齢は20~87歳(平均64歳),骨折型(Neer分類)は2-part 27肩,3-part 31肩,4-part 7肩,観察期間6~64カ月(平均15カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋:内旋のみJOAスコアに基づき点数化),骨癒合,合併症であり,年齢・骨折型と関節可動域に関する検討を行った.【結果】平均肩関節可動域は屈曲116°,外旋29°,内旋3.8点であった.合併症発生率は35%であった.年齢と屈曲・外旋可動域で負の相関関係を認めた.4-partでは屈曲可動域が有意に低下していた.【結語】PHILOS固定例では年齢と屈曲と外旋で負の相関関係を認め,4-part骨折では有意に屈曲が不良であった.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 大槻 健太 親富祖 徹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.336-339, 2020

<p>【はじめに】近年,上腕骨近位端骨折に対して保存療法を推奨する報告が散見される<sup>1)2)5)</sup>.上腕骨近位端骨折に対する保存療法の成績を報告する.【対象および方法】保存治療を行った21例21肩を対象とし,内訳は骨折型2-part 9肩,3・4-part 12肩,年齢は49~87歳(平均69歳)(65歳未満:5肩,65~74歳:6肩,75歳以上:10肩),経過観察期間は6~81カ月(平均25カ月)であった.調査項目はX線学的評価,肩関節可動域:屈曲・外旋・内旋であり,骨折型(2-part,3・4-part)と年齢別での患健比(%)を検討した.【結果】最終可動域は屈曲132°,外旋57°,内旋5点であり,患健比(%)は骨折型別では2-part(屈曲87%,外旋88%,内旋93%),3・4-partで(90%,75%,81%).年齢別では65歳未満(88%,96%,93%),65~74歳(90%,71%,75%),75歳以上(90%,75%,91%)であった.【まとめ】3・4-part骨折と65歳以上で外旋制限を認める傾向があったが,保存療法の成績は比較的良好であった.</p>
著者
藤本 泰毅 島袋 孝尚 山川 慶 金城 英雄 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.195-199, 2020

<p>【要旨】症例は39歳,女性.1年9ヵ月前より両下肢しびれ,2ヵ月前より右下肢筋力低下が出現し,他院を受診した.MRIにて胸椎硬膜内髄外腫瘍を指摘され当科へ紹介された.両鼠径部以下のしびれ・感覚鈍麻,右下肢腸腰筋以下にMMT3の筋力低下を認めた.MRIでT10/11高位に右腹側にT1・T2で等信号,ほぼ均一に造影される硬膜内髄外腫瘍があり,さらにその左背側には信号強度の異なる腫瘍を認め,脊髄は強く圧排されていた.手術はT10・11還納式椎弓形成を用いて腫瘍摘出術を施行した.術中迅速病理では右腹側は髄膜腫,左背側は神経鞘腫であった.肉眼的に腫瘍を全摘後,硬膜焼灼処置を行った.永久病理結果も術中迅速病理と同様であった.術後3ヵ月のMRIでは腫瘍再発を認めず,術後1年の現在は両下肢しびれ軽減し,下肢筋力も正常である.</p>
著者
伊波 優輝 金谷 文則 東 千夏 山中 理菜 比嘉 浩太郎 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.274-277, 2020

<p>65歳女性.3歳時に右下腿粉砕骨折を受傷(本人申告で詳細不明),12歳までに腓骨・腸骨移植を併用し数回の手術後に骨癒合した.30歳頃にvon Recklinghausen病を指摘され,53歳頃から右足関節の外反変形が増悪し装具や靴を作製したが,症状が増悪したため65歳時に当院へ紹介された.足関節の可動域は背屈/底屈:-10°/45°で,右足関節の外反動揺性が高度であったため,荷重時・歩行時に足関節内側が接地し内果後方に胼胝を形成していた.単純X線像で腓骨遠位が4 cm遺残し,外側遠位脛骨角は67°,踵骨外反は40°だった.CTで距骨下関節の関節裂隙は保たれていた.手術は全身麻酔下に外側アプローチで切除した腓骨遠位を骨移植し,距腿関節固定術を行った.術後4週免荷,その後は装具装着下に部分荷重を開始し,術後8週で全荷重を許可した.術後1年,疼痛は軽快し市販の靴を履いて独歩可能である.</p>
著者
大槻 健太 山口 浩 当真 孝 呉屋 五十八 宮田 佳英 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.127-131, 2020

<p>68歳,男性.2カ月前に転倒し受傷した.同日救急外来を受診し,単純X線像(以下,Xp)を施行されるも異常を指摘されなかった.その後も左肩痛が持続したため,受傷後1.5カ月で近医整形外科を受診し,左肩関節前方脱臼を認めたため当科へ紹介された.初診時,左肩関節の動作時痛,可動域制限,腋窩神経領域の感覚障害を認めた.左肩関節可動域(以下,ROM)は屈曲45°,外旋-10°,内旋不可で,日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(以下,JOA score)は16.5点であった.術前Xpで肩関節前方脱臼,MRIで前方関節唇損傷・腱板大断裂を認めた.手術は前方関節唇および腱板修復を行い,術後8週間は外転枕固定を行い,術後早期より手指肘のROM訓練,術後3週より肩関節他動運動,術後6週より自動介助運動,術後8週より自動ROM・腱板訓練を開始した.術後早期にはXpで亜脱臼傾向認めたが徐々に改善した.術後12カ月で骨頭壊死を認めず,疼痛,ROM(屈曲140°,外旋60°,内旋L1),JOAスコア83.5点へ改善,MRIでは腱板連続性を認めた.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 呉屋 五十八 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.123-126, 2020

<p>症例1 40歳,女性,教員.12カ月前に右乳がんに対して乳房切除術,4カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.右肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時肩関節可動域(以下,ROM)は,屈曲105°,外旋45°,内旋不可,徒手筋力テスト(以下,MMT)は,肩関節内旋のみ3レベルであった.リハビリテーション(以下,リハ)開始後12カ月でROMは,屈曲160°,外旋85°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,教職へ復帰している.症例2 42歳,女性,保育士.6カ月前に左乳がんに対して乳房切除術,2カ月前にシリコンインプラントを用いた再建術を受けた.左肩関節痛と可動域制限のため紹介された.初診時ROMは,屈曲120°,外旋20°,内旋不可,MMTは肩関節内旋のみ3レベルであった.リハ開始後6カ月でROMは,屈曲160°,外旋60°,内旋T10,MMTは,内旋は4レベルに改善,保育士へ復帰している.</p>
著者
親富祖 徹 山口 浩 呉屋 五十八 当真 孝 森山 朝裕 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.101-104, 2020

<p>【はじめに】広範囲腱板断裂手術例(massive rotator cuff tear,以下m-RCT)は,肩関節可動域(range of motion,以下ROM)制限が主訴となることが多い.一方,ROMの回復に関して,術後患側と非手術側(以下,健側)とを比較した報告は少ない.本研究ではm-RCTの術後ROMとROM患健比を検討したので報告する.【対象および方法】m-RCTに対し一次修復術が可能であった29例29肩を対象とした.平均年齢は66.5歳,平均経過観察期間は46カ月であった.調査項目は健側ROM(屈曲・外旋・内旋:内旋はJOAスコアに基づき点数化)と術前後患側ROMとを調査し,術前後の患側ROM変化とROM患健比を検討した.【結果】平均健側ROMは屈曲153°,外旋61°,内旋5.6点であった.患側ROMは術前(屈曲88°,外旋38°,内旋3.9点)が術後(142°,52°,5.3点)と有意に改善した(各々,p<0.05).術後ROM患健比は屈曲93%,外旋85%,内旋95%であった.【まとめ】RCTに対する一次修復術後ROMの回復は,患健比の比較でも良好な結果であった.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 前原 博樹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.56-59, 2019

<p>三角筋断裂を伴う広範囲肩腱板断裂の治療にはしばしば難渋する.我々は三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂の2例を経験したので報告する.症例1 69歳女性.5年前から右肩痛を自覚.1年前より近医受診で内服,ステロイド注射を行っていた.3カ月前に突然右肩挙上困難出現,MRIで三角筋断裂を合併した広範囲肩腱板断裂を指摘され当科を紹介.初診時身体所見は右肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲20度,外旋30度,内旋Th8でJOAスコアは45点であった.腱板一次修復術と三角筋修復術を施行し,術後64カ月で自動肩関節可動域屈曲105度,外旋65度,内旋Th8,JOAスコア86.5点へ改善を認めた.症例2 82歳女性.3年前より右肩痛,可動域制限を自覚.1週間前より誘因なく右肩関節腫脹,皮下出血を認め近医受診.三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂を認め,手術目的に当院紹介.初診時身体所見は肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲0度,外旋10度,内旋Hip,JOAスコアは25点であった.腱板修復術に大胸筋移行術を併用し,三角筋修復術を施行し,術後12カ月で自動肩関節可動域屈曲65度,外旋45度,内旋L1,JOAスコア58点へ改善傾向を認めた</p>
著者
比嘉 勝一郎 金城 英雄 前原 博樹 島袋 孝尚 中島 慶太 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.636-640, 2018

<p>Langerhans cell histiocytosis(以下LCH)は,Langerhans細胞の増殖を特徴とする原因不明の疾患で,骨腫瘍全体の1%以下と稀である.今回,われわれは脊椎に発生したLCHの3例を経験したので報告する.【症例1】13歳男児.1ヵ月半前から胸背部痛があり受診した.Xp上T2椎体は圧潰し,PET-CTでT2・T9・S1椎体にFDGの集積がみられた.T2椎体の生検を行い単臓器多病変型のLCHと診断した.化学療法を行い,初診後4年の現在,再発はない.【症例2】8歳女児.1ヵ月前から両季肋部痛があり受診した.Xp上T9椎体は圧潰し,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断した.BP製剤の内服を行い,初診後1年4ヵ月の現在,再発はない.【症例3】27歳男性.2ヵ月前から頚部痛と右上肢のしびれがあり受診した.MRI上C7椎弓右側に信号変化があり,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断,初診後7ヵ月の現在,経過観察中である.</p>
著者
喜屋武 諒子 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.667-670, 2018

<p>Giant cell-rich osteosarcoma(GCRO)は通常型骨肉腫の1~3%に発生する稀な疾患である.化学療法が著効した1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.1年前左膝関節痛を主訴に前医を受診した.単純X線像で左大腿骨外側顆の骨透亮像を指摘され,MRIで骨腫瘍疑いと診断された.その後通院の中断があり,6ヵ月後に疼痛が増悪したため前医を再受診し,単純X線像で病巣拡大を指摘され当院へ紹介された.当院で施行したFDG-PETで左大腿骨外側顆に高度集積を認め,切開生検の結果転移性骨腫瘍が疑われたため,初診から1ヵ月半後に広範切除術及び腫瘍用人工膝関節置換術を施行した.最終病理組織診断はGCROであった.術後1ヵ月に急速に増加増大する多発性肺転移を認め,NECO-95Jプロトコールに基づき化学療法を施行したところ著明な縮小効果が得られた.現在化学療法終了後1年6ヵ月経過し,再発転移を認めていない.</p>
著者
外間 敦 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.643-646, 2017

Chronic expanding hematoma(CEH)は画像上,悪性軟部腫瘍との鑑別がしばしば困難である.今回,悪性軟部腫瘍と鑑別を要したCEHの2例を報告する.【症例1】82歳,女性.3年前より徐々に増大する左大腿部腫瘤を主訴に近医を受診した.僧帽弁置換術の既往があり,ワーファリンを内服していた.MRIで左大腿直筋内に6×3×10cmのT1強調像で内部不均一な等~高信号,T2強調像で低~高信号の混在した不均一な信号を示し,造影MRIでは内部に造影効果が不均一な腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【症例2】56歳,男性.5年前に左臀部を鉄骨の間に挟まれた.その後より左臀部に腫瘤を自覚.腫瘤が増大したため近医を受診した.MRIで左殿部筋膜下に13×8.5×18cmのT1で低信号,T2で等信号と高信号が混在した信号を示す腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【考察】CEHの診断には画像所見とともに病歴や病理検査も含めて総合的に判断する必要がある.
著者
又吉 修子 當銘 保則 前原 博樹 喜友名 翼 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.641-644, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
11

傍骨性骨軟骨異形増生は,手足の短管骨に好発し傍骨性腫瘤を形成する疾患である.今回我々は,脛骨骨幹部に発生した傍骨性骨軟骨異形増生の稀な1例を経験したので報告する.症例は12歳,男児.1年前,サッカー中に右下腿前面を打撲した後より同部位に腫瘤を自覚した.腫瘤が徐々に増大し運動後の疼痛を認めるようになったため,近医を受診した.脛骨前面に発生した骨腫瘍を疑われ,精査目的に当科へ紹介された.右下腿中央内側に5 cm大の骨性隆起を認め,単純X線像で脛骨近位骨幹端から骨幹部にかけて辺縁整で台地状に隆起した骨腫瘍を認めた.MRIでは,T1強調像で低信号,T2強調像では腫瘍基部で低信号,隆起部では高信号を示す二層性の変化を認めた.腫瘍隆起部に造影効果を認めた.切開生検術を行い,傍骨性骨軟骨異形増生と診断された.腫瘍基部を含む切除術を施行し,現在術後1年2ヵ月で再発を認めず,切除部に骨形成を認める.
著者
田中 一広 前原 博樹 當銘 保則 上原 史成 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.328-330, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5

初回術後多発肺転移と複数回局所再発を来し治療に難渋した右肘頭骨巨細胞腫にdenosumabが著効した1例を報告する.【症例】18歳,女性.右肘頭骨腫瘍にて当科紹介され,単純X線像,切開生検にて骨巨細胞腫の診断に至った.骨腫瘍掻爬,アルコール処理,自家腸骨移植施行後4ヵ月で肺転移を認め化学療法施行,zoledronateを投与した.術後9ヵ月で局所再発し再手術施行するも,計3度再発を来した.転移性肺腫瘍は徐々に増加,増大し初回手術後4年2ヵ月より肺炎,血胸を来すようになりdenosumabを投与開始した所,転移性病変は縮小し症状改善した.10ヵ月投与後に一旦休薬したが,再度転移性病変が増大したため投与を再開した.以降転移性病変は縮小傾向であり,現在術後6年2ヵ月経過している.