著者
大久保 耕嗣 浦上 弘 多村 憲
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.247-251, 2000-08-23 (Released:2010-07-21)
参考文献数
23

酸性次亜塩素酸水の消化器内視鏡消毒への使用を検討する目的で, 食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水の, Helicobacter pyloriに対する殺菌効果をin uitroにおいて比較検討した.また両消毒水を保存した際の安定性, 血清添加時の物性値の変動および金属に対する錆の発生について調査した.その結果, 両消毒水とも殺菌効果は同等で, また安定性, 血清添加時の物性値の低下および金属に対する錆の発生についても差異を認めなかった.すなわち, 酸性次亜塩素酸水は強酸性水と同様に内視鏡に対する消毒水として使用可能であることを確かめた.この酸性次亜塩素酸水は調製が非常に簡単で, 調製に必要な費用も強酸性水に比べて安価であり, 今後の利用価値は高いと考えられた.
著者
大久保 耕嗣 浦上 弘 多村 憲
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.184-188, 1998-08-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
14

食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水の, 各種菌株に対する殺菌効果をin vitroで比較検討した.強酸性水, 酸性次亜塩素酸水ともに10秒以内に芽胞を形成する菌以外は死滅させた.また強酸性水または酸性次亜塩素酸水の原液, およびこれを注射用蒸留水で段階的に希釈した両液の殺菌能とpH, ORP, 残留塩素濃度の変化を調べたところ, 強酸性水と酸性次亜塩素酸水との間に差異が認められなかった.また塩酸水に次亜塩素酸ナトリウムを種々の濃度に添加し, 残留塩素濃度を段階的に変化させた場合のpH, ORPを測定した.その結果, 強酸性水が殺菌作用を示すのに必要な条件として提唱されているpH2.7以下, ORP+1100mV以上という性状は, 塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで容易に作り出せることがわかった.この酸性次亜塩素酸水は調製が非常に簡単で, 調製に必要な費用も強酸性水に比べてきわめて安価であり, 今後の利用価値は高いと考えられた.