著者
片山 由美 月田 早智子 南出 和喜夫 岸下 雅通
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.49-52, 1995

今回, 院内感染と医療従事者の衣類について検討すべく, 京都大学本医療技術短期大学部学生のキャップの汚染状態を調査した. 菌分離は, 病棟実習中の本学短期大学部3回生36名を対象にキャップの7ヵ所をスタンプして行った. 同時に被検者全員の手指からの分離も行った.<BR>菌分離者は36名中75%の27名であり, そのうち1名のキャップから<I>Staphylococcus aureus</I>が分離され, MRSAであった. その他, キャップや手指からの分離菌種は表皮ブドウ球菌, 真菌類, その他の細菌が占めていた.<BR>キャップの使用期間と菌分離の関係は明確には解らなかったが, キャップの汚染源として使用者の手指・病院環境・医療機器などが考えられ, キャップのみならず医療従事者の頭部は汚染されているという認識をあらためて得た.<BR>本調査において, 表皮ブドウ球菌やその他の細菌がその多くを占めていた.さらに表皮ブドウ球菌などのCNSがすでにメチシリンに耐性を持ち, 院内感染の主流になりつつあるという事実を再確認した. 今後, 院内感染起因菌の変遷に伴い, 感染防止行動の基本である手洗いを徹底させるとともに, 医療従事者の衣類に関する感染防止行動指針の確立が必要と思われる.
著者
大野 聖子 佐藤 敬子 片岡 恵子 田中 結美 小原 優子 野田 あゆみ 小島 広美 細見 博子
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.264-268, 2000-08-23
参考文献数
8
被引用文献数
2

1995年と96年の公務災害に申請された針刺し・切創事故をEPINet日本語版を用いて解析を行った.それに基づき携帯型針捨て容器の導入, 病棟で使用する滅菌処置セットに滅菌済みの膿盆を組み込むこと, ゴム栓よりの真空採血用にルアーアダプターを採用などの改善を行った.原因器材としてディスポの注射器針, 翼状針, 留置針, 真空採血針の全体に占める割合は2年平均14件全体の65%から6件30%に減少した.携帯型針捨て容器はコスト的にも100床あたり月5000円程度で一般病院でもまず試みうる対策と考えた.
著者
山内 勇人 河野 恵 大西 誠
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.81-86, 2006-06-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
2

インフルエンザウィルス感染症は, 病床運営や患者生命にも関わる重篤な院内感染症の一つである. 当院は240床中80%がリウマチ性疾患, 中でも関節リウマチ (RA) が大多数を占めるRAの専門病院である. 2002年度の全国的なインフルエンザの大流行時に, 当院でもインフルエンザ患者が急増した. その主たる原因をエレベーター内での飛沫感染と考え, 入院患者, 職員, 外来患者や面会人を含む病院全体での厳格なサージカルマスク着用による飛沫予防策を緊急導入し, アウトブレークを途絶することに成功した. その経験から, 当院ではワクチン接種の推進に加え, 冬期のサージカルマスク対策を継続して行っている. 更には, 外来有熱患者の受付でのトリアージを2004年度より導入し, 飛沫予防策の強化を図っている. その結果, 入院患者でのインフルエンザ発生は, 2003年度0人, 2004年度は3人と良好な結果である.当院のようなハイリスク集団におけるインフルエンザの院内感染対策において, ワクチン接種の重要性は言うまでもないが, 病院全体での厳格な飛沫予防策の併用は極めて有用である可能性が示唆された.
著者
岩沢 篤郎 中村 良子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.179-183, 2001-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
9

10%ポビドンヨード製剤中の添加物の違いによる殺菌効果・細胞毒性の差を検討した.その結果, 殺菌効果は製剤間の違いは認められなかったが, 細胞毒性に大きな違いが認められた.この毒性は, グリセリン, ポリビニルピロリドンでは認められなかったことから, 添加界面活性剤の違いと考えられた.ポビドンヨード原末の毒性は低いものの, 創傷部等に頻回に使用する際には, 添加物の毒性にも注意が必要と考えられた.
著者
志田 泰世 野口 久美子 金子 潤子 金沢 宏 吉川 博子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.184-187, 2005
被引用文献数
2

平成15年12月30日, 新潟市民病院の神経内科と整形外科の混合病棟の入院患者47名中13名に下痢, 嘔吐の症状が出現した. 準夜勤務者 (3名) にも同様の症状が認められた. 病棟発生調査とおよび脱水症状の患者への治療が開始された. 出勤していないスタッフにも同様の症状が多いことがわかった. 緊急対策会議を開催し, 患者隔離・スタンダードプリコーションの徹底及び厳重な接触感染予防策が実施された. 胃腸炎の原因はノロウイルスであることが判明した. 1月8日には有症状患者は0となり, 10日患者の隔離解除・平常業務体制となった. ノロウイルス感染の症状は, 嘔吐69%, 下痢66%といわれ, 成人では下痢, 小児では嘔吐が多いとされている. そのため, ノロウイルスの主要感染ルートは, 糞口感染で, 高齢者ではおむつ交換時, 汚染された水や貝 (二枚貝) で, 時に飛沫による感染が推定されることから, 注意が必要である.
著者
白石 正 仲川 義人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.165-169, 2007-09-25 (Released:2010-07-21)
参考文献数
5
被引用文献数
1

輸液内への細菌混入は, 薬剤混合時やライン交換時などで生じ, カテーテル関連血流感染の原因 となることが知られている. そこで, 輸液中に細菌が混入した場合の細菌の増殖動向を検討した. 輸液は電解質輸液2種類, アミノ酸輸液3種類, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液1種類および50%ブドウ糖液1種類の合計7種類を使用した. 被験菌はE. coil, S. marcescens, P. aeruginosa, S. aureus, およびS. epidermidisを使用し, これらの細菌を一定菌量に調整した菌液をそれぞれ各輸 液に添加し, 6, 12, 24時間後にサンプリングを行い, SCD寒天培地に接種し, 35℃24時間培養 後コロニー数を計測した. この結果, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液中では, いずれの被験菌も経時的に増殖が認められたが, 50%ブドウ糖液中では6時間以降, 増殖は認められず, pHおよび浸透圧が関与しているものと考えられた. その他の輸液中では, 菌種により異なりP. aeyuginosa, S. auyeus, およびS. epidermidisでは48時間後に増殖は認められず, E. coil, S. marcescensでは増殖が認められた. このことから, 輸液の組成, pH, 浸透圧に加え, 細菌種の性質も関与すると考えられた.
著者
宮本 幹 山口 義夫 笹津 備規
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.127-132, 2000-05-18 (Released:2010-07-21)
参考文献数
17

レジオネラ症や非結核性抗酸菌症の原因となるレジオネラ属菌および非結核性抗酸菌について, その感染源となりうる身近な生活環境中の分布状況を把握するために河川, 湖沼, 海水および土壌等の自然環境, 修景用水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水などの人工環境, また各種細菌が検出されないと思われる対照として水道水と飲料用水の調査を行った.その結果, レジオネラ属菌は河川水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水から分離された.非結核性抗酸菌はレジオネラ属菌と同様, 生活環境中に広く分布していることが確認された.また, 一部飲料用水からも非結核性抗酸菌が分離された.循環風呂浴水に関しては循環機本体の熱洗浄システム等を導入した物理浄化方式の装置を試験対象とした.その結果, 温泉水や公衆浴場水等と比較してもその菌数, 分布ともに低値であった.
著者
坂田 宏 丸山 静男
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.5-8, 1991

1990年9月から12月までにNICUに届けられ, 冷凍庫に1~6日間保管した凍結保存人乳100検体, 当日調乳した人工ミルク30検体, 凍結保存人乳で栄養された極小未熟児・超未熟児15名からの糞便を, のべ60検体を採取し細菌培養を行った.<BR>凍結保存人乳の98例から<I>Staphylococcus epidermidis</I>が検出され, うち86例は10<SUP>3</SUP> CFU/m<I>l</I>以上の菌数であった.<I>Staphylococcus aureus</I>は5例から検出され, 4例は10<SUP>3</SUP> CFU/m<I>l</I>以下の菌数であった. グラム陰性桿菌は15例から9菌種24株が分離された. もっとも多かったのが<I>Klebsiella pmeurmoniae</I>で8例, ついで<I>Acinetobacter calcoaceticus</I> 5例であった. 10<SUP>3</SUP> CFU/m<I>l</I>以上の菌数で検出されたグラム陰性桿菌は12例17株あり, 10<SUP>4</SUP> CFU/m<I>l</I>以上の菌数を示したのは4例4株で, <I>K. pneumoniae</I> 2例と<I>A. calcoaceticus</I> 2例であった. <I>Candida</I>は4例から10<SUP>2</SUP> CFU/m<I>l</I>以下の菌数で検出された. 調乳した人工ミルクでは<I>S. epidermidis</I>が4例に10<SUP>2</SUP> CFU/m<I>l</I>以下の菌数で検出された.<BR>糞便から検出されたグラム陰性桿菌では<I>Escherichia coli, Enterobacter cloacae, K. pneumoniae, A. calcoaceticus</I>が10%以上の検出率であった. その他の凍結保存人乳から検出された菌種は検出率は低かったがすべて糞便からも検出された.
著者
白石 正 仲川 義人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.165-169, 2007-09-25
被引用文献数
4

輸液内への細菌混入は, 薬剤混合時やライン交換時などで生じ, カテーテル関連血流感染の原因 となることが知られている. そこで, 輸液中に細菌が混入した場合の細菌の増殖動向を検討した. 輸液は電解質輸液2種類, アミノ酸輸液3種類, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液1種類および50%ブドウ糖液1種類の合計7種類を使用した. 被験菌は<I>E. coil, S. marcescens, P. aeruginosa, S. aureus</I>, および<I>S. epidermidis</I>を使用し, これらの細菌を一定菌量に調整した菌液をそれぞれ各輸 液に添加し, 6, 12, 24時間後にサンプリングを行い, SCD寒天培地に接種し, 35℃24時間培養 後コロニー数を計測した. この結果, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液中では, いずれの被験菌も経時的に増殖が認められたが, 50%ブドウ糖液中では6時間以降, 増殖は認められず, pHおよび浸透圧が関与しているものと考えられた. その他の輸液中では, 菌種により異なり<I>P. aeyuginosa, S. auyeus</I>, および<I>S. epidermidis</I>では48時間後に増殖は認められず, E. coil, S. marcescensでは増殖が認められた. このことから, 輸液の組成, pH, 浸透圧に加え, 細菌種の性質も関与すると考えられた.
著者
戸島 洋一 松田 俊之 河井 良智 服部 万里子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.188-192, 2005-09-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
13

当院では抗菌薬適正使用推進のため2001年末に採用注射用抗菌薬を整理し, 第4世代セフェム薬を3剤から1剤に, カルバペネム薬を3剤から2剤に削減, ペニシリン薬とキノロン薬を追加した. その前後2年間ずつにおける注射用抗菌薬使用量と多剤耐性グラム陰性菌の検出数, 緑膿菌の耐性率を調べた. 注射用抗菌薬の使用数は整理前後の2年間ずつの平均で比べると約11%減少した. 第1世代セフェムの使用数は増加, 第3+4世代セフェムは16,810本/年から11,043本/年へと34%減少, カルバペネム約は27%減少した. 多剤耐性グラム陰性菌の検出数はB. cepaciaなどが減少傾向を示した. 緑膿菌のイミペネム耐性率は有意に減少したが, 多剤耐性緑膿菌検出数は減少しなかった. 削減されなかったメロペネム, セフォゾプランに対する緑膿菌の薬剤感受性は変化がなかった. 以上より, 採用抗菌薬の整理 (削減) は抗菌薬総使用数の減少をもたらし, 多剤耐性グラム陰性菌の検出数は増加せず, 残された薬剤の緑膿菌に対するMICは変化がなかったことより, 今回行った採用抗菌薬のコントロールは意義があったと考えられる.
著者
松野 容子 水野 秀一 大徳 優子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.123-127, 1996-09-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
6

病院環境における菌の分布やその動態の一端を明らかにする目的で, 病棟エレベーターの押しボタンと手指を対象とする細菌学的検討を行った.使用人数別 (1~8人) および経時間的 (30~120分) に押しボタン上から検出された菌数は, おおむね0から最高150~300colony forming units (CFU) で, そのうちの70%以上が20 CFU未満であった.しかし, 時に1200CFUもの菌が検出されるなど, 一部のヒトの手指の汚染状況に応じて接触後に非常に汚染された状態が生じうることが明らかとなった.無作為な押しボタンの拭き取り調査では最高検出菌数は約300CFUであったが, 平均検出菌数は約100CFUと高く, その一因として皮脂による菌の付着効果が考えられた.また, 押しボタンから手指に付着したcoagulase negative staphylococci (CNS) の経時的なプラスミドプロファイルからは複数の異なる菌株が確認され, 手指を介して菌が刻々と伝播されていく実態が推察された.
著者
白石 正 丘 龍祥 仲川 義人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.108-112, 1998-04-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
12

注射部位の皮膚消毒には80vol%消毒用エタノール (ETOH), 70vol%イソプロパノール (IPA), 80vol%メタノール変性アルコール (NEO) が使用されている.これらの同等性の如何を検討する目的で, それぞれの試験液 (未希釈液) と1.5倍, 2倍, 3倍希釈液の各種臨床分離株に対する殺菌効果および医療従事者 (n=10) を対象とした皮膚の除菌効果を検討した.その結果, 3種の未希釈液および1.5倍希釈液は各種細菌を15秒で殺菌したが, 2倍希釈液では30秒の接触でETOHに比しIPA, NEOがより高い殺菌効果を示した.皮膚の除菌率ではETOHの未希釈液は99.0±1.3%となり, 2倍希釈液85.0±18.6%および3倍希釈液61.3±30.58%との間に有意差が認められた.NEOにおいても未希釈液98.9±1.6%と2倍希釈液95.2±5.3%および3倍希釈液68.4±35.7%との間で有意差が認められた.しかし, IPAでは未希釈液の除菌率97.7±4.0%と3倍希釈液の除菌率77.3±29.1%の間にのみ有意差が認められた.これらより, 基礎的検討において各消毒剤の未希釈液および1.5倍希釈液は高い殺菌効果を有していたが, 臨床的検討ではIPAがETOHおよびNEOに比し, 高い殺菌効果を示したことから, 総合的に見た殺菌力ではIPA>NEO>ETOHであることが認められた.

1 0 0 0 OA 同定検査

著者
賀来 満夫
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.Supplement, pp.72-77, 2000-05-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
7

微生物検査において原因微生物を検出同定することは感染症の確定診断となる重要な検査である.微生物の同定検査は, さまざまな分離培地を用いて検体から微生物を分離培養し同定する方法と検体中の微生物の抗原や遺伝子などを直接検出する方法に大別される. このうち, 微生物の分離培養による同定検査は確定診断となるものの, 迅速性が欠けるなどの問題点がある上これに対し, 微生物の抗原や遺伝子を検出する方法は迅速性に優れているものの, 交差反応や汚染などの点でやはり問題がある.今後, より精度が高く迅速性に優れた微生物同定検査が行われていくためには, 検査法そのものの進歩発展が望まれると共に, 臨床側と検査室側がより密接に患者情報や検査情報を確認し合い, 同定検査法の利点や欠点を理解した上で検査結果をより正確に解釈することに努めていく必要がある.
著者
末柄 信夫 山口 英世 安井 克人
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.264-269, 1999-11-30
参考文献数
17
被引用文献数
1

手指消毒のために開発された手指熱風消毒器 (商品名クリアポパイ) の消毒・殺菌効果について検討した.試験菌10<SUP>4</SUP>~10<SUP>6</SUP> cfu (コロニー形成単位) を含む懸濁液を塗布した平板培地を本消毒器が発生する熱風および紫外線 (UV) に曝露した場合, <I>Pseudomonas aeruginosa</I>と<I>Escherichia coli</I> (O-157) は5secで, MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) と<I>Salmonella enteritidis</I>は10 secで, <I>Staphylococcus epidermidis</I>は20 secで, また<I>Enterococcus faecalis</I>は30 secで, いずれも99.9%以上が死滅した.<I>Candida albicans</I>と<I>Malassezia furfur</I>は30 secで99.6%が死滅した.一方, 手掌に塗布したE.coli (1.3×10<SUP>5</SUP> cfu/cm<SUP>2</SUP>) は 10 secの曝露で99.9%が死滅した.この消毒・殺菌効果のほとんどはUV曝露によるものであった.以上の結果に加えて本消毒器は, 消毒液や清拭紙等を必要としないこと, 操作が簡便であること, 手荒れもしないこと, などのすぐれた特長を備えているところから, 医療や食品等の取り扱いにおける手指消毒にきわめて高い有用性をもつものと考えられる.
著者
加藤 はる 加藤 直樹 渡辺 邦友 上野 一惠 坂田 葉子 藤田 晃三
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.12-17, 1995-10-20
参考文献数
14

3回の再発が認められた11歳の<I>Clostridium difficile</I>性腸炎例の計4回のエピソードにおける<I>C.difficile</I>分離株について, ウェスタンプロッティング (WB), パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE), およびpolymerase chain reaction (PCR) によるタイピングを用いて検討した.エピソード2の際の分離株はどの3つのタイピング法を用いてもエピソード1の際の分離株と同じタイプであり, エピソード2はエピソード1と同じ株による再燃と考えられた.しかし, エピソード3の際の分離株は3つのタイピング法でエピソード1および2の分離株と異なるタイプを示したことから, 新しい菌株による再感染であると考えられた.エピソード4の際に分離された菌株はWBタイピングではエピソード1と2の際に分離された菌株と異なり, さらにエピソード3からの分離株とも異なるタイプであった.しかし, エピソード4からの菌株はPFGEタイピングでは細菌のDNAが抽出過程で破壊されタイピングができず, PCRタイピングではエピソード1および2からの分離株とはminor bandに違いが認められたのみで, エピソード1と2の分離株と同じタイプに分類された.これらのことからエピソード4はさらに新しい菌株による感染と考えられた.Cd顔ae起因性腸炎では治療にいったん反応しても, 再発が多いことが治療上大きな問題となっている.タイピング法は, このような再発が同じ菌株による再燃なのか, 新しい菌株による再感染なのかの検討を可能にし, <I>C.difficile</I>感染の治療や予防を行ううえで非常に有用であると考えられた.
著者
諏佐 理津子 布施 克也 石沢 真幸 中俣 正子 塚田 弘樹 下条 文武
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.303-308, 2001-12-07 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

病院職員がインフルエンザに罹患した場合, 個人の健康被害だけではなく多方面に様々な影響を及ぼす. 今回我々は病院職員に対するインフルエンザワクチンの有効性, および適切な接種回数を実際に評価するため, 1999年12月~2000年3月, 十日町病院に勤務する全職員362名をワクチンを接種しない群 (V0群) 166名, ワクチンを1回接種する群 (V1群) 112名, 2回接種する群 (V2群) 84名の3群に分けて, 前向きな検討を行った. 感冒罹患率は有意差をみなかったが, インフルエンザ様疾患 (以下ILI) にはV0群11名, V1群3名, V2群1名が罹患し, 接種群の方が未接種群より有意に罹患率が低かった (p<0.05). 感冒・ILIのための延べ欠勤日数は, それぞれ100名当たりV0群29.5日, V1群19.6日, V2群14.3日で, 接種群の方が未接種群より有意に短かった (p<0.05). 38℃以上の延べ発熱日数は, 100名当たりVO群38.0日, V1群26.8日, V2群19.0日で, 接種群の方が有意に短かった (p<0.05). いずれの項目もV1, V2群間で有意差を認めなかった. 以上の結果より, 冬期間の病院職員の医療提供能力を維持するためには, インフルエンザワクチン接種は有効であり, 接種回数は1回でも十分であると考えられた.
著者
寺田 喜平 新妻 隆広 片岡 直樹 二木 芳人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.173-177, 2000-05-18
被引用文献数
4

我国の看護学生における院内感染予防対策の現状と問題点を明らかにする目的で, 看護大学および短大140校においてアンケート調査を行った.34% (24/71校) の大学で看護学生が水痘, 流行性耳下腺炎, 麻疹, 風疹に, また2校で結核に感染していた.感染対策は既往歴やワクチン接種歴の報告が57%, 検査 (抗体, 便培養) が64%, 何もしていないが14%であった.抗体検査は93%がB型肝炎, 約30%が麻疹や水痘などに対し, また49%がツベルクリン反応を実施していた・抗体測定は感度の低いCF法などの実施例もあった.検査料金は大学の全額補助36%, 一部補助32%, 学生の全額負担28%で, 検査項目数が増加しても補助率はほぼ同じであった.ワクチンの接種勧奨は61%で行っていたが, 接種は本人まかせが56%で, 接種料金は全額補助14%, 一部補助29%であった.その補助費用は88%で大学が, 8%で大学後援会が出していた.問題点は現在の対策がB型肝炎中心で, 結核やウイルス感染に対する対策が遅れていた.また抗体測定法の選択に問題があった.検査料金やワクチン料金は少なくとも補助が必要で, またワクチン接種勧奨するだけでなぐ集団接種や場所, 時間など学生に便宜を計る必要があると考えられた.看護学生に対する院内感染防止には費用も含めた対策が必要である.
著者
藪内 英子 山本 啓之 遠藤 卓郎 八木田 健司 守尾 輝彦
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.137-140, 1998-04-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
14

On 9 March 1996, a 57-year-old Japanese drunken male drown in a public bath in Tokyo. He was transferred to a emergency hospital and recovered. After his discharge on 11 March by walking, he became febrile at night. Next day, because of high fever and dyspnea, he came to the medical attention, and was immediately hospitalized under the diagnosis of acute pneumonia. Although bacteriological, serological examinations and chemotherapy for suspected Legionella pneumonia, definite diagnosis was not obtained and the patient died on 6 April. Culture of the autopsied lung tissue yielded colonies of Legionella pneumophila serogroup (SG) 6, and reexamined serum antibody titer against. L. pneumophila serogroup 6 was 1: 1024 by microplate agglutination test.Examinations for legionellae and their host amobae in the water of 22 bath tubs of 6 public bath facilities located in the area including the facility concerned were carried out on 22 April without notification in advance. Free residual chlorine concentrations of the 22 bath water were from 0.1 to more than 5 mg/L, and water from 2 bath tubs (0.1%) of low chlorine level were legionellae-positive. Host amoebae for legionellae were detected from 10 bath tubs of 5 facilities.Though Naegleria was detected, the bath water where the patient drowned was negative for viable legionellae by repeated trials of culture, 3 times intraperitonal passages of guinea pigs, and coculture with amoebae. The 16S rRNA gene specific for legionellae was detected from the bath water by nested PCR method using primers, 225A-854B and 448A-854B. After filtration of 10 ml bath water, the membrane filter was stained by indirect fluorescent antibody (IFA) method. Rodshaped organisms trapped on the membrane filter were IFA-positive against L. pneumophila SG 6, same with the isolates from lug tissue, and their presumptive number in bath water was estimated as 102-103/ml. Based on the results of nested PCR and IFA staining of rod-shaped bacteria trapped on the membrane filter, the bath water was regarded as contained with viable legionellae due to unknown reason and could be the source of infection when the patient was drowned.
著者
茂木 伸夫 藤野 典子
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.230-235, 2001-08-27
参考文献数
20

都立駒込病院は, 1879年, 当時人類の脅威であった伝染病の病院として創設された経緯があり, 当歯科も長い間, 感染症患者の診療を行ってきたが, 診療時における感染予防対策として, 様々な工夫, 改良を重ね, 現在の診療体系を構築してきたので, その具体的な方法を報告する.<BR>当科では歯科医師, 歯科衛生士各3名 (非常勤も含む), 歯科技工士1名という限られたスタッフのため, 感染症患者の歯科診療は, 院内感染防止上, 診療日, 診療時間を一般患者と分けている.感染症診療日は, 設備面として診療台はビニールや滅菌シーツの利用, ディスポーザブル製品の使用を積極的に奨めている.<BR>具体例として (1) 診療台の椅子やテーブル, ライトなどは市販のビニール袋やディスポーザブルのシーツ, エプロン, 手術用キャップなどを利用してカバーする.(2) タービンヘッド, バキュウムのホースは筒状のビニールでカバーする.(3) 印象物は, ビニール袋の中に入れて, 技工室に運ぶなどである.<BR>これらの対策の実施により, B型肝炎陽性患者 (歯科感染外来の開始) の治療を初めた1981年来, 感染事故は1例も起きていない.
著者
白石 正 仲川 義人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.275-279, 1999-11-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
4

医療用具の一次消毒には様々な消毒剤が使用されているが, 被消毒物に損傷を与えるような消毒剤の使用は控えるべきである. 今回, 金属の腐食性に着目して鉄片, 亜鉛片, 銅片, アルミニウム片, 真鍮片およびステンレス片を対象に, 浸漬消毒に通常使用されない消毒剤も含めた7種の消毒剤によるこれら金属に対する腐食性, および腐食して錆が発生した鉄片に対する消毒剤の殺菌効果の影響とその原因について検討した. 0.1%塩化ベンザルコニウム液は鉄片に対して30分, 0.02および0.05%次亜塩素酸Na液は鉄片および亜鉛片に対して10分, 銅片に対して1時間の浸漬で錆の発生が認められた. 両性界面活性剤は鉄片に対して0.2%溶液中で1時間後, 0.05%溶液では3時間後に錆の発生が認められた. 0.1および0.5%グルコン酸クロルヘキシジン液, 80vol%エタノールおよび70vol%イソプロパノールは, 少なくとも6時間以内の浸漬では錆の発生は認められなかった. 一方, 鉄錆 (+) 片と鉄錆 (-) 片を対象にグルコン酸クロルヘキシジン液, 塩化ベンザルコニウム液および両性界面活性剤の殺菌効果の相違の有無については, いずれの消毒剤も鉄錆 (+) 片は鉄錆 (-) 片に比べ殺菌効果の低下が認められた. この原因として, 鉄錆 (+) 片から溶出する鉄イオン量が鉄錆 (-) 片に比べ多いことから, 鉄イオンが殺菌効果に影響していことが一因と考えられた.