著者
児玉 充弘 多田 和也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.284-289, 2013-10

可溶性をもつ導電性高分子は比較的低い融点をもつが,溶融状態の導電性高分子を電子素子に利用しようという試みはほとんどなされていない.本論文では溶融状態の導電性高分子を電子素子に利用するための予備的な検討として,2枚のITO電極付ガラス基板間に溶融状態の導電性高分子を挟んだ構造の素子(ITO/ITOセル)と,高分子上に真空蒸着法によりAu電極を形成した素子を試作し,特性評価を行った.後者では高分子層の液化に伴い,素子構造を保てなくなることが予想されたが,高分子層とその上に形成する金属電極層が一定の厚さ以上であれば素子構造を保ち,ITO/ITOセルと同様の結果が得られることが分かった.
著者
堀 圭児 本川 善幸 多田 和也 小野田 光宣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1064-1069, 2002-12-01
被引用文献数
2

大気中においてITO及び金属の電極材料上に製膜する導電性高分子の膜厚を変えることによって接合界面の電子状態の変化を大気中光電子分光法及びケルビンプローブ法を用いて調べた.いずれの電極材料を用いた場合においても,大気中光電子分光法によって評価されたイオン化ポテンシャル(IP)の変化は界面から約10nmまでの領域で起きており,それ以降の膜が厚い領域では導電性高分子本来のIPに収束した.また,界面近傍でのIPの変化の度合は,電極材料の仕事関数に依存性を示した.一方,ケルビンプローブ法を利用して評価された基準電極と導電性高分子との間に生じる接触電位差と膜厚の関係は,電極材料によって顕著な違いが見られた.