著者
栗林 英範 石榑 康雄 陶山 史朗 高田 英明 伊達 宗和 畑田 豊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.173-179, 2008-02-01
参考文献数
17
被引用文献数
2

Depth-fused 3D表示原理を利用した2限式立体ディスプレイの微小な奥行再現方法を用いたときに,再現可能な最小の奥行量を調べ,奥行提示分解能の限界について検討した.この表示方法は,左右眼像のエッジ部分の狭い領域の輝度分布を変化させることで,微小な奥行を再現できるようにする.その結果,エッジ領域の幅が約2min of arc以下のとき,奥行弁別精度は約5視角秒となり,人間の両眼網膜像差弁別限界とほぼ同等であった.したがって,この提示方法により,人間の奥行弁別能力を満足させる微小な奥行が再現できる.
著者
永徳 紀男 柚木 謙一 平川 廣満.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.819-827, 2002-09-01
被引用文献数
1

自然楽器音の特徴の一つはその周波数及び振幅が揺らぎを呈していることである.従来のミュージックシンセサイザではすべてのスペクトルを一律に変調していたため,生成音には自然さが得られなかった.そこでミュージックシンセサイザに自然な揺らぎをもたせることを目的として任意のスペクトルの変調を提案する.提案では,まず,電圧制御型発振器が含む任意の単一スペクトルを1個の状態変数形フィルタによって同時に抽出,消去する.この抽出したスペクトルを超低周波で変調した信号と同一のスペクトルを消去した信号をアナログ的に加算する.本論文では,任意のスペクトルを周波数変調あるいは振幅変調する場合の理論式を示す.次に,状態変数形フィルタの構成と基本動作について述べる.このような方式のミュージックシンセサイザを製作し,実験により単一のスペクトルの抽出,消去の動作とビブラート変調,トレモロ変調について検証できた.提案したミュージックシンセサイザは従来の回路に状態変数形フィルタを追加するのみで実現されるもので内蔵の超低周波発振器で揺らぎの深さ,速さを確実に制御できた.
著者
塚田 裕 山中 公博 禰占 孝之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.509-518, 2008-11-01
参考文献数
16
被引用文献数
1

フリップチップボンディングによる半導体チップの実装は,高密度・高性能の特性により,初期はセラミック基板を使用し,大型コンピュータヘの適用を中心として発展した.1991年の樹脂封止フリップチップ実装とビルドアップ配綿板の出現により,エポキシをベースとした有機材料基板の使用が可能になり,低コスト化が果たされて適用範囲は飛躍的に拡大した.有機材料基板を用いたフリップチップ実装の現状の課題をまとめ,今後の方向について考察した.
著者
佐竹 賢治 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.419-426, 2001-05-01
被引用文献数
2

本論文では磁気記録通信路に適用可能な誤り訂正符号を対象として、新しい復号法を提案する。この復号法はインタリーブされた符号内の2個以上の受信語において訂正能力を適えない誤り系列が生起している場合、訂正不能の誤りが生起した残りの受信語を訂正することを特徴としている。具体例としてインタリーブ数4,6及び8の符号を対象にして提案手法を解析し、考察を加える。その結果、本提案復号手法により、従来、CRCによって使用不可能な領域と判定していたセクタ領域の70〜80%が再利用可能となることを示す。
著者
藤掛 英夫 曾田 田人 滝沢 國治 菊池 宏 河北 真宏 米内 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.165-169, 2000-02-25
被引用文献数
5

ポリマー分散液晶のポリマー形成機構を探るため, 液晶含有率が高い光重合相分離において, 多様な分散形態が得られるチオールエン系ポリマーの自己組織化現象を, 環境制御型電子顕微鏡により観察した.その結果, 液晶含有率の増加に伴って, ポリマーが泡膜状から, 微粒子の凝集したネットワーク繊維状へと変化する現象が初めて確認された.それらの形成には, 重合途中の液状ポリマー若しくは混合液の界面張力が関与した可能性が高く, 相分離に伴う過渡的で不安定な分散形態が, その後のポリマー硬化により急速固定されたものと推察される.
著者
太田 堯久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.329-331, 2001-04-01
被引用文献数
1

メラーらは加速系への相対論的変換公式を導く理論を発表しているが, 任意の3次元運動をする一般的な並進加速系に対しては, 解が得られていない.本ノートではメラーらとは異なる手法で, 一般的な並進加速系に対してメラーの理論の近似解に相当する変換式を導いている.
著者
大平 孝 飯草 恭一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.12-31, 2004-01-01
被引用文献数
136

電子走査導波器アレーアンテナは1本の給電放射素子とその近傍空間に配置されたパラサイト放射` 素子から構成される. 放射素子間の空間電磁界結合によりビームが形成され, パラサイト素子に装荷だれか可変 容量デバイス(バラグタ)により指向性を電子的に制御する. 通常のアクティブフェーズドアレーアンテナと異 なり, システム構成に必要な送受信機が1系統なので低消費電力かつ低コストでの適応ビーム形成が期待できる. 逆に, 信号を観測でぎる出力ポートが1系統であること, ウェイトが直接制御量ではなくリアクダを介して間接 的に制御すること, 素子間結合並びに放射素子とリアクタデバイスが一体化していることのため従来構築されて きた線形適応アレー理論がそのままでは通用しないという技術課題がある. 、本論文ではこのアンテナの構造, 動 作原理, 定式化, 測定法, 制御方式, 並びに信号処理への応用技術を提示する. アンテナの高周波的振舞いを模 擬する数学モデル, 特性の定式化に用いる等価ウェ不トベクトル, バラクタ繰込みアドミタンス行列, 実効素子 長, 等価ステアリングベクトルの手法, バラクタの容量可変範囲を等価的に拡大する方法並びに非線形ひずみを 相殺するリアタタンス回路, 放射素子の極近傍界を測定し指向性並びにバラクタをキャリブレートする方法, 電 波環境に適応して自律的に指向性を制御するための学習的規範及びブラインド規範並びにリアクタンス最適化ア ルゴリ・ズム, リアクタンスドメイン信号処理の概念とこれを用いた電波到来方向推定, ダイバーシチ受信, 空間 相関について述べる.
著者
窪野 隆能
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.300-307, 2000-04-25
被引用文献数
26

継電器に搭載した3.6mmφAg/CdO12wt%電気接点(開離力0.15〜0.18N, 接点間隙(げき)0.8〜1.0mm)を直流30V-10Aの抵抗性回路内で閉成責務電気接点として使い, 閉成責務動作ごとにバウンス回数, アーク継続時間, 接触抵抗や背面温度を測定し, 更に陰極面上に形成される転移突起の成長過程を撮影した.数千回の閉成責務動作で丘状の転移突起は肉眼で確認できるほどに成長し, 動作回数が更に増すとその突起は石筍(じゅん)形状で高くなる.閉成責務動作が1万回以上になると動作回数の増加とともに, 石筍形状の突起高さHの成長率は鈍化し, しかも突起の根本太さDfはさほど変動しない.転移突起を成長させる閉成時アークは, 閉成責務動作ごとのアーク継続時間が200〜500μsであっても, 数万回の閉成責務動作(積算アーク継続時間では8〜10s)で分離不良を起こすほどに転移突起を高くすることがこの実験で明白となった.分離不良を起こした試料から, 「電気接点が分離不良を起こす際の突起形状は, 曲がった石筍タイプであり, H/Df≧0.5でかつH/間隙≧0.5である」と判断できる結果が得られた.
著者
関根 好文 隅山 正巳 佐伯 勝敏 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.988-994, 2001-10-01
被引用文献数
43

最近, 工学的な応用を目指し, 神経回路網を構成する基本単位であるニューロンをハードウェアにより実現する研究が盛んに行われている.特に, 脳内での情報伝達手段としてのパルス信号を近似的に模倣したパルス形ハードウェアニューロンモデルが注目されているが, パルス形ハードウェアニューロンモデルとしては, 回路が複雑であったり, コイルを含んだりしており, 実用的なモデルは少なかった.本論文は, パルス形ハードウェアニューロンモデルの一つであるΛ形ニューロンモデルを, CMOSプロセスの標準方式に適用できるエンハンスメント型MOSFET(以下, E-MOSFETと略す)とコンデンサのみで構成し, 大規模ニューラルネットワークに向けたハードウェアニューロンモデルとして有用であることを示したものである.まず, 時間的に変化する負性抵抗特性を有するΛ形負性抵抗回路をE-MOSFETにより構成できることを示し, その原理を明らかにしている.次に, この負性抵抗回路を用い, CMOSプロセスの標準方式に適用可能なE-MOSFETによるΛ形ニューロンモデルを構成できることを明らかにしている.
著者
井戸川 貴志 出口 博之 辻 幹男 繁沢 宏 高木 信雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.321-328, 2006-05-01
被引用文献数
17

単純なストリップ導体を二次元周期配列して構成されるオフセット給電のマイクロストリップリフレクトアレーにおいて,広帯域な特性の実現を目指して,長さの異なる線状素子を一方向に密に配列して構成し,その簡易設計法について述べている.本法の妥当性は,モーメント法をもとにした数値解析,及び試作した単層構造のマイクロストリップリフレクトアレーのX帯での放射パターンの測定評価によって検証している.
著者
堀田 昌志 鶴成 哲也 三宅 芳昭 小野 和雄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.98-100, 2000-01-25
参考文献数
9

2段階拡散法によりガラス製チャネル光導波路を作製する際に、使用する基板ガラスの組成や特性によっては埋込み型チャネル光導波路を作製することが困難な場合がある。このような場合でも、あらかじめガラス基板表面にナトリウムイオンを拡散させ、組成の異なる領域を形成(前処理)しておけば、チャネル光導波路が作製できることを示している。
著者
邊見 均 五味 隆志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.543-551, 2001-07-01
被引用文献数
4

電子回路の構成・機能を自律進化的に変化させる「進化するハードウェア」(Evolvable Hardware:EHW)という研究分野について紹介する。この研究分野は1990年代のはじめに日本, スイス, 英国で独自に開拓され, 現在アメリカ, 北欧, 韓国などへと世界的に広がる様相を見せている。進化ハードウェアという概念がいかにして生まれたかから始め, いくつかのパイオニア的研究例について主に進化を可能とするようなハードウェアのコーディング方法を軸に解説する。また, この分野の最近の動向について主要な研究拠点ごとに概説する。
著者
若森 和彦 カザウラ カムギシャ 鈴木 敏司 大前 和憲 松本 充司 高橋 浩一 松本 秀樹 村上 匡亮 有本 好徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.28-37, 2008-01-01
被引用文献数
16

無線システムにとって,光ファイバ網との間でインタフェースを意識させない相互接続環境の実現は究極の目標の一つである.本論文では,光無線方式によるファイバ-空間-ファイバの間を一貫して光信号のまま伝送するフル光接続を提案し,その実現に向けた実験的検討,特に大気揺らぎの影響及び装置設計について述べる.ファイバと無線区間を意識させず,伝送する光信号に何ら変更を加えない,フル光接続を実現する次世代光無線システムを実現するためには,空間光をシングルモードファイバヘ安定して導光する技術を確立する必要がある.そのためには,大気揺らぎによる受光強度変動の制御が必須である.そこで,我々は大気揺らぎの特性を長期の実験により評価し,次世代光無線システムの設計に有効な性質や指標を明らかにした.そして,大気揺らぎによる到来角度変動を制御し,空間とシングルモードファイバを効率的に結合する受光光学系を導入した光無線装置を開発した.この装置を使い,10Gbit/s 伝送やDWDM伝送というこれまで実用化されている光無線システムでは実現できなかった大容量通信を安定的に実現できることを示した.この結果は,次世代光無線システムが,ビットレートや伝送プロトコルに依存しないファイバと等価な伝送路を提供できる可能性があること,更に光と無線システムの融合をファイバ中のみならず無線区間においても実現できる可能性を示唆している.
著者
マルハン ラジェシュクマール 原 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.979-989, 2000-11-25
被引用文献数
1

ワイドギャップ半導体であるSiCは, 高速のスイッチング用途における低損失パワー素子として性能向上がなされてきている.SiCのスイッチ素子が実現されれば, モータドライブシステムや高電圧直流送電において, 大きな変革をもたらすであろう.本論文では, 最近のSiCーMOSFETの構造とプロセス技術の進展を述べ, 蓄積層の大きなチャネル移動度を利用するノーマリオフ型エピチャネルトランジスタ設計の考え方を述べる.更にSiC結晶の高品質化からキーデバイスプロセスまで, パワーデバイス開発の取組みについても議論する.
著者
辻 健一郎 クンチョロ ドゥイ チャヒョ 渡邊 拓也 小野寺 紀明 猿渡 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.686-695, 2004-09-01
被引用文献数
6

半導体光増幅器(SOA)の相互利得変調(XGM)を用いた全光波長変換法において,応答速度の改善やパターン効果の低減方法として,CWのアシスト光を用いたSOAの利得回復時間を早める方法が検討されている.アシスト光はSOAの利得曲線上の透明波長に入力することで,SOAの利得低下を抑えつつ効果的にキャリヤの回復を早めることができる.しかしながら,SOAの透明波長はSOA内部のキャリヤ密度とその分布によって変化するため,最適な条件は,入射光の波長,強度,伝搬方向等,SOAの動作条件に大きく影響されると思われる.本論文ではアシスト光の波長や伝搬方向がSOAの応答速度にどのような影響を与えるかを,理論的及び実験的に調べ,最適なアシスト光の条件を検討した.
著者
松田 静男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.79-82, 2003-01-01
被引用文献数
1

筆者は[1]で結合線路形3極真空管の電極間部分静電容量を等角写像法により求めたが,[1]では電極導体間を均質誘電体と考えてその誘電率は電極間空間の場所にかかわらず真空の誘電率とした.一方高密度の結合線路形3電極プラズマ管では[2]で述べたようにプラズマの等価誘電率は陰極導体からの距離によって異なるような不均質誘電体と考えねばならない.本論文では[1]の理論を電極導体間プラズマが[2]で述べたような不均質誘電体である場合に拡張して単位長当りの電極間部分静電容量を求めている.
著者
井上 七穂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.618-620, 2001-07-01

周波数の異なる音響波を液中の球面レンズで液面に集東させ, 噴射実験を行った。バースト周波数ごとに異なる焦点距離や噴射エネルギーを液面としンズ間の距離及びバースト波の駆動パラメータで補正し, 安定した大小のドロップを交互に噴射することができた。これにより, 高画質を維持し, 高速プリントを図る可能性を見出した。
著者
児玉 充弘 多田 和也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.284-289, 2013-10

可溶性をもつ導電性高分子は比較的低い融点をもつが,溶融状態の導電性高分子を電子素子に利用しようという試みはほとんどなされていない.本論文では溶融状態の導電性高分子を電子素子に利用するための予備的な検討として,2枚のITO電極付ガラス基板間に溶融状態の導電性高分子を挟んだ構造の素子(ITO/ITOセル)と,高分子上に真空蒸着法によりAu電極を形成した素子を試作し,特性評価を行った.後者では高分子層の液化に伴い,素子構造を保てなくなることが予想されたが,高分子層とその上に形成する金属電極層が一定の厚さ以上であれば素子構造を保ち,ITO/ITOセルと同様の結果が得られることが分かった.
著者
佐藤 源之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.520-530, 2002-07-01
被引用文献数
42

地中レーダを用いた地下計測について現状とイメージングのための技術について解説する.地中レーダ計測が実用的に利用されている分野を紹介し,弾性波計測に対する地中レーダの特徴をまとめる.次にイメージングのために現在用いられている逆散乱問題としてのアプローチとマイグレーションによるアプローチを紹介する.現状では地中レーダについてはマイグレーションによるイメージングが多く利用されており,本論文ではKirchhoffマイグレーション,f-κマイグレーション,リバースタイムマイグレーションについて具体的なデータを用いて説明する.
著者
前田 佳均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.1053-1059, 2000-12-25
参考文献数
14
被引用文献数
2

イオンビーム合成法によって作製した多結晶β-FeSi_2膜の光学特性を格子ひずみの関係で調べた.X線回折法によって決定した格子定数はバルクとは異なり, 著しいα軸の伸展, bとc軸の圧縮及び格子体積の膨張が観察された.アニール温度や時間の違いによって, 格子体積は収縮から膨張に変化し, 光学吸収端は, 収縮したβ-FeSi_2格子では間接遷移を, そして膨張した格子では直接遷移を示した.これらの実験結果を踏まえて, 格子変形したβ-FeSi_2のエネルギーバンドの第1原理計算を行い, 計算結果によって, 格子ひずみによるバンドギャップへの影響を考察した.