著者
石川 知広 大久保 康明 小川 定義 藤原 真実
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

自己言及性は近年さまざまな分野で注目を集める概念であるが、これを方法として文学研究に応用する試みはこれまで殆どなかった。本課題においては、主にフランス近世文学に軸足を置きながら、モンテーニュ、パスカル、18世紀匿名出版文学などの分析を行い、本概念が有する豊かな可能性を浮き彫りにしようと努めた。具体的に言うなら、自己言及性の審級は、作者とテクストの関係のみならず、テクストのそれ自体への関係においても根源的なものであること、さらには、同時代の他のテクストとの間テクスト性も、テクストに内在する自己言及性によってはじめて可能になるのではないか、という見通しを立てることが可能になった。