著者
大久保 立樹 室町 泰徳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.507-512, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
20

本研究では,まず,撮影された写真画像の位置情報と写真画像に対するコメントに加え,方位と仰角を取得することができるシステムを開発した.また,18名の留学生を被験者とし,被験者を各観光地まで案内して,そこから各自自由に観光しながら撮影をしてもらう実験を行った.さらに,写真画像ごとのコメントを記述してもらい,言語と写真画像の両方のデータを取得することで,観光客の関心対象をより詳細に把握することを試みた.結果として,仰角データの活用により,観光客の撮影する関心対象を絞り込むことが可能となることが示された.仰角の高い関心対象は高層の建物が多く,写真画像の撮影位置とは離れた対象である場合があることが明らかとなった.また,仰角の低い関心対象には買い物や食べ物に関わることが多いことも示された.さらに,言語データと写真画像の位置・方位・仰角データを組み合わせることで,言語データのみからでは生じてしまう関心対象の地理的不一致を修正することが可能となり,観光客の関心対象をより詳細に把握できることを示した.
著者
大久保 立樹 室町 泰徳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.573-578, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 5 2

本研究では,海外版旅行ガイドブック(lonely planet)と旅行口コミサイト(tripadvisor)を対象に,その言語内容を解析し,有用な計画情報を抽出する手法を示した.その結果,ガイドブックにおいては,宿泊施設紹介ページの影響が大きく,観光地へのアクセス情報が豊富である一方,形容詞は少ないことが示された.口コミにおいては,買物,食,アニメ・ゲーム関連語が多く,観光客がこれらの内容に対して関心を持っていることが示唆された.さらに,旅行ガイドブックと口コミの観光地ごとの傾向には類似性があることがわかった.観光地ごとにみてみると,"temple"はAsakusa,"maid"と"anime"はAkihabara,"tuna_auction"はGinza-Tsukijiといったように,各観光地のイメージの特徴を抽出することができた.また,Akihabaraに関しては,ガイドブックと口コミのプロットの間にやや距離があることから,ガイドブックに記載されている情報とは異なる特徴を観光客はイメージしているものと推察された.