- 著者
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大原 鐘敏
- 出版者
- 昭和大学学士会
- 雑誌
- 昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.2, pp.151-158, 1991-04-28 (Released:2010-09-09)
- 参考文献数
- 20
ヒトの大腿屈筋群 (大腿二頭筋長頭・短頭, 半腱様筋, 半膜様筋) の機能的特徴を明らかにするためにこれらの筋の筋線維構成を検索し, ヒトの他筋と比較, 検討した.材料は本学解剖実習に用いた10%ホルマリン水注入屍17体 (男性11体, 女性6体, 平均年齢64.1歳) から得られた大腿屈筋群である.各筋の最大幅部の筋横片を採取, セロイジン包埋, H・E染色標本を作製し, 筋線維構成を検索した.結果はつぎのごとくである.筋重量は大腿二頭筋が最大で, 屈筋群中約40%を占め, 以下, 半膜様筋 (約35%) , 半腱様筋 (約20%) の順であった.筋腹横断面積は大腿二頭筋長頭と半膜様筋が他二筋の倍以上を占めていた.筋線維総数は大腿二頭筋長頭が最多であったが, 各筋とも20万前後で筋間の差は小であった.筋線維の太さは半膜様筋が最大で, 大腿二頭筋長頭がこれに次ぎ, この二筋はヒトの他筋と比較しても大きな筋群に属していた.これに対し, 半腱様筋と大腿二頭筋短頭は他二筋よりはるかに小さく, 比較的小さい筋群に属していた.以上のことから大腿屈筋群では大腿二頭筋長頭と半膜様筋が他二筋より著明に発達し, 膝関節屈曲の主作働筋であると考えられた.