著者
谷口 哲司 小野 哲也 大友 功一 安田 裕隆
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.203-210, 1983-11-30

一般産業用エンジンに採用され発達したターボチャージャは,わが国においても一部の農業用トラクタに使用されている。同型で同一排気量でターボ過給されたトラクタ(TCトラクタ)と,されないトラクタ(NAトラクタ)の2台を供試して性能試験をおこない,農業用トラクタに対するターボ過給の適応性を検討し,次の結果を得た。1)PTO軸性能試験において,ターボ過給されたトラクタは最大軸出力が19.6%増大し,その最大値は低回転域にずれた。最大軸トルクは定格回転より急激な上昇を示し,その最大値はNAトラクタに較べて27.6%増大し,エンジンにねばりをもたせている。燃料消費率は全回転域にわたり約4%の改善を成した。2)けん引性能試験において,ターボ過給されたトラクタは滑り率20%時のけん引出力が14.2%の増大を示し,より高速作業のできることを示した。さらに消費燃料を考慮したけん引仕事効率では2.4%の向上を示し,このときけん引力が29.5%大きく,けん引出力が19.8%増大していた。以上のことを総合して,ターボ過給されたトラクタは同型同排気量のトラクタと比較して,機関出力に余裕があり,燃料消費率が低減され,高いけん引仕事効率が得られる結果となった。したがってより重作業・高速作業に適応できると考察された。