- 著者
-
阿部 弘
川勝 恭子
大友 英嗣
西島 隆明
- 出版者
- 一般社団法人 園芸学会
- 雑誌
- 園芸学研究 (ISSN:13472658)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.3, pp.267-273, 2016 (Released:2016-09-30)
- 参考文献数
- 9
エゾリンドウの4年生株における切り花収量の減少要因を明らかにするため,2年生株から4年生株において,塊茎の発達過程と花茎の発生について調査した.2年生株から3年生株にかけて主塊茎の生育は旺盛になり,副塊茎の多くがこの時期に形成された.3年生株から4年生株にかけては,主塊茎の木化が進んで生育が緩慢になる一方で,副塊茎の発達が旺盛になった.株齢による花茎の発生は主塊茎と副塊茎で異なる傾向を示した.3年生株では,主塊茎からの花茎の発生が旺盛であった.これに対して,4年生株では,旺盛に発達する副塊茎からの花茎の発生が盛んになったものの,主塊茎からの花茎の発生が減少することにより,株全体の花茎発生が減少した.主塊茎の頂芽は栄養芽として存続し,側生器官である花茎と副塊茎を分化し続けた.従って,4年生株における主塊茎の発達の停滞は,無限成長性を維持したまま起こると考えられた.