著者
大友 貴志
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.215-223, 1997-12-25

モルモットの肝臓からRNAを調整し, 既知の他動物のcDNA相同部位よりプライマーを作製し, RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)法・5'RACE(Rapid Amplification of cDNA End)・3'RACE法, ジデオキシ法によってビクニンおよびカウンタートリピンのcDNA塩基配列を決定した.ビクニンはα1-ミクログロブリンの3'側につながって合成され, 1157塩基から成り352残基のアミノ酸をコードしており, カウンタートリピンは1481塩基から成り358残基のアミノ酸をコードしていた.そして得られたアミノ酸配列を既知の他動物の配列と比較検討したところモルモットではトリプシン阻害活性中心部に特色ある変化が見られた.さらにこの二つの蛋白質の分子系統樹を同義置換率に基づいて作成したところ, モルモットは齧歯類よりヒト, ブタに近い種族であることがわかった.このことは, モルモットが齧歯目には属さず, モルモットを含む天竺鼠目を齧歯目と対等な分類にするべきと提案したLiの仮説を支持するものであった.