著者
大國 生幸 海老原 覚
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1391-1398, 2021-12-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
45

摂食嚥下は,食塊を口腔から咽頭・食道を経て胃まで送る一連の過程で,通常5期に分けられる.中でも咽頭期は嚥下反射が中心となり,咽頭感覚は摂食嚥下において重要な役割を担う.咽頭感覚に関連する神経学的または構造的な欠陥は摂食嚥下に影響を及ぼすため,咽頭感覚障害はさまざまな疾患に不随する摂食嚥下障害の要因の1つとなる.咽頭感覚障害のリハビリテーション医療は,実際に食物を用いて行う直接訓練と,食物を用いない間接訓練とに分けられる.近年,感覚および運動経路の刺激に基づく新しい治療法として,刺激療法が着目されている.リハビリテーション医療は,個々の患者の状態や摂食嚥下機能に基づいて行う必要があり,多職種からなるチームによる治療が推奨される.