著者
大場 治男
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.264-266, 1949

多化性蠶蛆蠅は蛹態で越冬するという説 (明石1908) と幼蟲態で越冬するという説 (西川1926) がある。筆者が秋末クワゴから得た多数の蛹を保護したものは全部年内に羽化して蛹態越冬を認めなかつた。<br>ミノムシ類の幼蟲には實驗的によく産卵, 寄生せしめ得るが, 自然状態においても越冬中のミノムシ幼蟲は多化性蠶蛆蠅による高率の被害を受けることが認められる。越冬中のミノガ幼蟲を寄主として寄生した幼蛆から翌春3頭の成蟲を得た。このことは西川氏の朝鮮における觀察と一致するところであつて, 日本にありても寄主體内に寄生のまゝ幼蟲態にて越冬するものゝようである。