著者
Kenji Yukuhiro Kazuya Iwata Natuo Kômoto Shuichiro Tomita Masanobu Itoh Makoto Kiuchi
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
Journal of Insect Biotechnology and Sericology (ISSN:13468073)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.1_029-1_035, 2012 (Released:2013-01-28)
参考文献数
21

We analyzed 3633 Japanese Bombyx mandarina COI sequences from 37 locations in Japan, found 94 segregating sites in 714-bp long COI nucleotide sequences and eventually identified 121 haplotypes. We further confirmed that the 121 haplotypes were different from the 8 B. mori haplotypes reported by Yukuhiro et al. (2011), and the result strongly suggested little gene flow from B. mori to Japanese B. mandarina. We discuss the properties of the mutational differences between the two species.
著者
顧 国達 濱崎 實 宇山 満
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.349-357, 1993-10-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
23

生糸世界市場の展開を主な生糸需給国の蚕糸絹業の発展と国際政治経済的諸条件に規定されたものと見る立場から, 1842年「南京条約」の成立から1945年第二次世界大戦の終結までの103年間を世界生糸貿易史の近代として時代区分する。本稿は近代生糸世界市場の成立に関わる諸要因を概括的に検討した上で, 成立期 (1842~72年の31年間) における生糸世界市場の需給関係を, 主な生糸需給国の蚕糸絹業の展開との関連を中心に, 生糸貿易統計をベースにして数量的に明確なものにした。
著者
WEIJUN HU YOSHIKUNI YANAGI MITSUO ARAI KIYOSHI HIRABAYASHI NARUMI YOSHITAKE
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
The Journal of Sericultural Science of Japan (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.127-130, 1987-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

生糸の機械的性質 (強度, 伸度及びヤング率) が約1,800日にわたり, 種々の湿度の下で測定された。生糸の湿度調整は飽和塩溶液を用い, デシケーター中で行った。日数が経つほど生糸の劣化は低湿度より高湿度中で促進される。生糸に含まれるセリシンは多量の水を吸うので, 練糸と比較すると, 強度の低下及び伸度の上昇が著しい。動的弾性率と機械的性質と同様の傾向を示した。
著者
Haruka Kawaguchi Teruyuki Niimi
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
Journal of Insect Biotechnology and Sericology (ISSN:13468073)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.2_035-2_044, 2018 (Released:2018-08-07)
参考文献数
22

The development of genome editing techniques has allowed the generation of tremendous genetic diversity, even in non-model insects. The major obstacle for maintenance of genetically diverse stocks in non-model insects is the need for constant rearing in the laboratory, which is labor-intensive and time-consuming. The maintenance of insect colonies in the laboratory is further complicated by risk factors such as disease contamination, human error, and genetic changes by natural mutations that can lead to the loss of desirable genotypes. To avoid these risk factors, cryopreservation is the most desirable option. Here, we present a method we developed for cryopreservation of ovary from the multicolored Asian ladybird beetle, Harmonia axyridis, adapted from techniques for ovary cyropresevation in the silkworm, Bombyx mori. We used last (4th) instar beetle larvae as both donors and recipients for the cryopreserved ovaries. The best and average success rates of cryopreservation were 40% and 26%, respectively, based on the percentage of beetles receiving cryopreserved ovary transplants that subsequently laid viable eggs. This success rate is much higher than that reported for B. mori using last instar larvae. The 26% average success rate is sufficient for the technique to be of practical use for maintaining genetically diverse lines of H. axyridis, and reduces the laborious tasks required for constant maintenance of numerous colonies. This is the first reported success in ovary cryopreservation for a small non-model insect. The techniques that we developed should also be useful for ovary cryopreservation in other small non-model insects.
著者
山田 晶子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.266-271, 1997-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

絹と他の繊維素材布の熱伝導率を熱線法により20℃, 65%R. H. の環境で計測した。布の重ね枚数を50枚以上の厚さにすると, 再現性のある計測が可能である。布の構造的な特徴は, 低荷重で計測した布厚さから求められる繊維体積率に表れ, 布の熱伝導率は, 繊維体積率と一定の関係を示した。一般的に, 繊維体積率が増えると, 熱伝導率も高くなるが, 絹では羊毛と同様にその変化が小さく, 綿, 麻, ポリエステルでは変化が大きい。絹と他の繊維素材を比較すると, 絹は羊毛に次いで大きく, ポリエステル, 綿, 麻の順に熱伝導率が高くなることが分かった。布の熱伝導率λkから, 空気分率に相当する熱伝導率λaを引いて求めた繊維固有の熱伝導率λkfは, 絹では0.25と最も低くまた素材毎に固有な値を示した。布の熱伝導率λkと繊維固有熱伝導率λkfは相関を示し (0.68), フィラメント織物の絹・ポリエステルでは, 繊維固有熱伝導率に較べて布の熱伝導率が高く, 綿・羊毛などの紡績糸織物では布の熱伝導率が低い傾向が認められた。絹では, 繊維固有熱伝導率が繊維中最も低いが, 布になると羊毛より高く, ポリエステルより低いという特徴を示した。
著者
山崎 泰正 小川 克明 金勝 廉介
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.228-235, 1992-06-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDSPAGE) によりカイコガコクナーゼを分離するとともに, その作用特異性について酸化インシュリンB鎖を基質に用いて調査し, 次の結果を得た。1) 小顋のコクナーゼは, ゲルろ過法と陽イオン交換法において二つの主要な280nmの吸収ピークが現われ, 逆相法においても同様に二つの主要な220nmの吸収ピークが現われた。これらのピークのうち, 大きい方のピークに吸収曲線と対応するプロテアーゼ活性を認めた。活性ピーク面積は全吸収ピークのそれぞれ80%と66%, 88%であった。推定分子量はゲルろ過法で26,400, SDS-PAGEで28,000であった。2) 脱繭液中に含まれるプロテアーゼは, ゲルろ過法および陽イオン交換法において小顋のコクナーゼと極めて近い位置に溶出しSDS-PAGEゲル上でも, このプロテアーゼ活性分画のバンドの位置は小顋のコクナーゼと等しかった。3) 逆相法によって, 酸化インシュリンB鎖をコクナーゼ処理して得られたフラグメントが, トリプシン処理して得られたフラグメントと等しい位置に溶出することを確認した。したがって, コクナーゼの作用特異性はトリプシン様であると考えられた。
著者
今井 暹 鎌田 好二 佐藤 幸子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.274-280, 1975-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

茂原市郊外のヨード工場ならびにモリブデン工場周辺部の養蚕家に出現した異常蚕について研究した結果, つぎの成績を得た。工場群から特定方向の一定距離内の桑園が工場から出る有害物質の被害をうけ, その桑葉を食下した蚕に異常がみられた。この桑葉は50~100ppmという高濃度のヨウ素に汚染され, これを食下した蚕は特異な病状を呈しながら発育を阻害されることを明かにした。したがってこの異常蚕はヨウ素中毒によるものであり, その病状はヨウ素添食蚕と全く一致していた。また中毒死は, 蚕体内にかなり高濃度に留存しているヨウ素にその原因があるように考えられた。
著者
山本 好和 熊沢 敦子 坂田 佳子 木下 靖浩 片山 明
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.27-31, 2002-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2

マダガスカル島原産の観賞用植物であるハナキリンを組織培養することによって生産された単一のアントシアニン (シアニジン-3-アラビノシド) で, アニオン化された絹を染色した。被染素材としてアニオン化された絹を用いることで, 鮮やかな赤色を呈するフラビリウムカチオンが濃着染色されること, およびカチオン色素が繊維中で安定化することを明らかにした。また, フラビリウムカチオンが染色したアニオン化絹に対する種々の金属塩による後媒染および耐光性への影響を調べた。
著者
渡辺 忠雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.251-256, 1959-08-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

家蚕の突然変異種の1つであるセリシンのみを吐糸するセリシン蚕についてその特異性を正常蚕と比較して研究した。1. セリシン蚕はフィブロインはほとんど吐糸せずセリシンを正常蚕のセリシン量とほぼ同量吐糸することを知つた。2. セリシン蚕の体液の遊離アミノ酸は正常蚕の体液に比較して約10倍のグリシンと数倍のセリン, チロシンを含むがアラニン含量は正常蚕と変らなかつた。3. セリシン蚕の吐糸するセリシンは正常蚕のセリシンと同じアミノ酸組成を示した。4. セリシンは家蚕の体液中の各アミノ酸含量の大小によりそのアミノ酸組成が変化しないと考えた。5. 正常蚕の体液蛋白のアミノ酸組成は哺乳動物の血液蛋白質によく似ており, セリシン蚕の体液蛋白も大体同じ結果が得られた。6. セリシン蚕から分離した正常蚕と通常の蚕との間には特別な相違は認められなかつた。
著者
山田 晶子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.341-346, 1998-08-31 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12

絹布の吸湿速度に及ぼす大気の温・湿度の影響を比較検討した。また, 高温環境での繊維素材別の吸湿速度の特徴も検討した。布の吸湿による重量変化を記録し, 一次の反応速度式から吸湿速度定数を求めた。吸湿過程全体の吸湿速度は, 高温・低湿環境ほど大きく, 低温・高湿環境ほど, 小さくなる傾向を示し, 推定値の結果と一致した。初期吸湿速度は, 後期吸湿速度より大きく, 環境湿度が変わっても, 環境温度が等しければ一定であった。各種繊維素材布の初期吸湿速度の終点での水分率と, 水分吸着曲線が一定勾配で上昇しなくなる点の水分率は等しかった。初期吸湿速度の変化点後の吸湿速度の減少割り合いは, 絹, 羊毛で小さく, 綿, 麻で大きかったことから, 絹は, 低温多湿の気候で着心地が良く, 綿麻は, 高温多湿の夏季に適した衣料素材と言える。
著者
森 正明
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.320-328, 1981-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
25

イチジク (Ficus carica L.) 生葉よりカイコに対する毒性物質として psoralen を単離・同定した。 psoralen は食下試験により1.0mg/g dry diet の濃度で成育を著しく阻害し, 1頭当り200μgの皮下注射で5齢起蚕を死亡させた。また, この物質の0.3mg/g dry diet 添加によりカイコの摂食が阻害された。
著者
嶋崎 昭典 川久保 八郎 高橋 修
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.83-87, 1975-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
3

接緒回数の分布について, 以下に示すような, いくつかの結果がえられた。注目した緒内で空接緒を含む接緒回数の変化を示す確率をP(Z=k) とおくと, これは一般にP(Z=k)=a1p(a0+a1q)kで示される。ここにpは有効接緒効率 (比率) でqは1-pである。a1は取り出し効率 (比率) でa0は1-a1である。またkは有効接緒が生じるまで繰かえされる接緒数である。さらに, 接緒効率(1-λ), λ=a1pの分布f(λ) は,f(λ)=(α+β+1)!λα(1-λ)β/α!β!で与えられる。ここにαとβは分布のパラメータであり, λの平均値は (α+1)/(α+β+2) で, 分散は (α+1)(β+1)/(α+β+2)2(α+β+3) である。これらのことから, 工場におけるすべての接緒現象の分布P(U=k) は,P(U=k)=(α+β+1)!(α+k)!(β+1)/α!(α+β+k+2)!で与えられた。ここにα, βとkはf(λ)での定義と同じであり, Uは接緒回数を示す確率分布である。ゆえにUの平均値は (α+1)/β, 分散は (α+1)(β+1)(α+β+1)/β2(β-1) となる。
著者
田中 茂男
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.341-344, 1960-08-31 (Released:2010-11-29)
参考文献数
7

サクサン休眠蛹を蛹化後種々の時期に低温処理し或は保温した場合の成虫化について実験を行い次のことを知った。1) 蛹化後50日を経た休眠蛹を, 5℃ に10日から50日間の範囲の低温処理したところ, 接触期間の長いほど, ことに30日間以上において成虫化率が高く, 50日間の低温接触によって100%成虫化した。しかし2.5℃ では接触日数の長短にかかわらず成虫化率は30%前後であった。2) 処理温度を-2.5℃, 1.5℃, 2.5℃, 5℃ および150Cとして, それぞれ30日間接触させたところ, 50Cが最も成虫化の効果が高く-2.5℃ および15℃ がおとることを知った。3) 蚕室内の自然気温下においた休眠蛹は, 松本地方では, 11月中旬に保温すればすでにかなり高い成虫化率を示す。しかし10月初旬では保温100日後においても羽化をみなかった。4) 1化目の休眠蛹と2化目の休眠蛹の休眠性についてみると, 前者が強い休眠性をもつと思われた。
著者
東 哲夫 木内 玄詔 小山 長雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.90-93, 1964-02-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
3

Silkworm larvae which had been reared by a sericulturist in Suwa City, Nagano-Ken were attacked and killed by an unknown insect. This injurious insect to silkworm larva was identified as Sclerodermus nipponicus Yuasa belonging to Bethylidae of Hymenoptera. The bee is a parasite of the larva of the Anobiidd beetle. In this case, however, the host beetle was Stenygrinum quadrinotatum Bates (Cerambycidae), which bored into mulberry shoots stocked at an attic of silckwormrearing room. The damage was certainly brought by such a course as;the bees from the host beetles-gall or walk to silkworm bed-→prick the silkworms injecting a poisonous fluid-→soon or later the solkworms fall in death.
著者
尾暮 正義 長沼 計作 原島 典雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.159-164, 1985-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
37

クワとコウゾとの属間交雑による雑種植物育成の可能性を究明するため, これらの交雑を試みた。クワとコウゾとの交雑において, クワを種子親に用いた場合は多くの完熟した椹が得られたが, 逆交雑では受粉後全部の花が落下ないしは萎凋した。着椹割合は種子親に用いたクワの品種・系統間で明瞭な差異がみられた。また, β-ナフトキシ酢酸の30~50ppm処理は着椹割合をかなり高めたが, ジベリン75~100ppm処理は著しく低下させた。クワ系統C 4081-G7の椹には1粒の種子も含まれていなかったが, 他の椹には多数の種子が含まれていた。得られた種子の大部分はしいなであり, 水々注ぐと水面に浮んだが, 沈むもの (沈種子) も含まれていた。この沈種子から発芽・生長した6個体について, 外部形態やアイソザイムパターンなどを調査した結果, いずれも属間雑種ではないことが判明し, クワとコウゾとの間に強い交雑不親和性が認められた。
著者
福田 宗一 酒井 績
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.395-400, 1956-12-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

I1 est bien connu, dans la sériculture, qu'il se trouve par hasard des vers à soie qui, après la montée, ne filent pas le cocon, malgre qu'ils atteignent a la maturité en temps normal, apparemment sains et se comportant naturellement. Tels vers à soie se trouvent souvent en abondance surtout dans les élevages au printemps et causent un dommage considérable.Peu est connue la raison pourquoi ces vers à soie ne fluent pas. Au printemps de 1955, nous avons rassemblé beaucoup de vers à soie de cette sorte apparus spontanément dans les élevages de notre laboratoire et des fermiers séricultueurs aux environs de la cité de Matsumoto. Dansle but de préciser la cause immédiate de non-filer, nous en avons examiné leur glandes séricigèneset en même temps vu s'ils n'etaient pas affectés par la grasserie.Au total 2251 vers appartenant à diverses races ont été examinés. I1 s'est trouvé que chez 1953 vers (soit; 86. 7%) les glandes séricigènes étaient anormales, 170 vers (7.6%)étaient affectés par la grasserie, et chez 128 vers (5.7%) restant aucune anomalie perceptible n'était découverte dans les glandes séricigènes et, aucunement atteints de grasserie.Sur 1953 vers portant les glandes séricigènes anormales, chez un seul les glandes ne s'étaient pas déformées, mais seulement colorées en brun partiellement, tandis que chez tous les autres les glandes se déforment caractéristiquement dans une partie definie (Fig. 1).Pour la plupart du cas, une constriction profonde s'était formée dans la division moyenne de la partie moyenne de la glande des deux côtés, tandis qu'on ne remarquait pas de changements notables dans les autres parties. Mais, en certain cas, au lieu de la constriction, il se trouve une transformation en filament d'une longueur variable de la division moyenne, et, en tel cas, des constrictions s'étaient produites un peu partout dans la partie postérieure de la glande. Généralement, l'anomalie des glandes se trouve symétriquement dans les deux côtés.La glande séricigène d'un ou deux côtés se rompt souvent en arrière de la constriction ou de la partie filamenteuse, et le contenu se répand dans l'hémolymphe. Par l'observation de tous les 12 heures sur les glandes séricigènes à partir de la montée des vers à soie, il semble que la rupture de la glande survienne, pour la plupart, pendant 48 à 60 heures après la montée.Les résultats observés susmentionnés permettent de montrer que la cause immédiate de nonfiler des vers anormaux qui se trouvent spontanément dans la sériculture, est due, dans la majorité des cas, à la formation de la constriction ou transformation en filament de la division moyenne de la partie moyenne des glandes séricigènes, qui empêche la substance soyeuse formée dans la glande d'être vomie.(Station de recherches sericicoles de Katakura, Matsumoto, Japon)
著者
野口 洋子
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.230-236, 1995-06-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13

5-bromo-2′-deoxyuridine 処理により分離された温度感受性変異株 (No. 20株, No. 128株およびNo. 217株) の増殖様式を in vitro および in vivo で検討した。No. 20株, No. 128株を培養細胞に接種後33℃で培養すると, ウイルスの増殖を示す組織学的兆候は観察されなかった。No. 217株の場合は, 33℃ではウイルスの形態形成や多角体形成が抑制され, ウイルス粒子の膜形成も異常や多角体への包埋の減少が電子顕微鏡観察で認められた。No. 128株とNo. 20株の33℃での混合感染で, 多角体形成細胞率が向上し, 明瞭な相補性が認められた。No. 128株とNo. 20株の場合は, カイコ幼虫に接種後25℃で飼育する期間が短い程病蚕の発生が抑えられた。この場合33℃の飼育のみでは幼虫の発病はみられなかったが, 25℃に移すと発病した。No. 217株接種蚕は, 33℃飼育では25℃飼育に比べて発病率が低下し, 発病時期も遅れる傾向を示した。
著者
山崎 寿 西村 国男 田口 亮平
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.118-126, 1955-04-29 (Released:2010-11-29)
参考文献数
10

(1) 有明天柞蚕試験地の飼育用4年生櫟樹林において, 萠芽前に地上1.5-1.8mを残して主幹を伐採した主幹伐採区と, 無手術のまま放置した対照区とに柞蚕を放養して, 両区の蚕児の発育状態, 作柄及び飼育樹林の葉質を調べ, これに依り主幹伐採による葉質の変化並びにこれが蚕の作柄に及ぼす影響を考究した。(2) 本実験を行つた1953年は多雨寡照の気象状態を示し, 柞蚕の作柄と葉質との関係を追求するのに好都合の年であつた。(3) 主幹伐採区は対照区に比較して,(イ) 病蚕歩合少く, 健蛹歩合が大である。(ロ) 幼虫体水分率及び体液水分率は小であり, 幼虫体体液屈折率は大である。(ハ) 幼虫の体重が大で, 発育は斉一で経過が早い。(ニ) 繭重, 繭層重及び蛹体重は共に大であり, 繭層歩合は大差ない。(4) 主幹伐採区は対照区は比較して,(イ) 主幹及び側枝の頂芽の伸長が旺盛であり, それに着生する葉数も多い。(ロ) 葉は緑色が濃厚で, 葉身長, 葉巾が大で, 葉肉がより厚い。(5) 主幹伐採区は対照区に比較して,(イ) 葉の水分率が大で乾物率は少い。(ロ) 乾物中の蛋白質の割合が著しく多く, 炭水化物, 粗繊維, エーテル浸出物及び粗灰分の割合は幾分少い。(ハ) 灰分組成ではMn2O3及びMgOに著しく大であり, P2O5及びCaOは大差はないが, SiO2, SO3, Cl, K2O, Na2O, F12O3+Al2O3, は幾分少い。以上の結果を綜合するに, 野蚕飼育用櫟樹の葉は桑葉に比較して著しく粗硬で含水率や蛋白質含量がはなはだ少いが, 萠芽前主幹伐採を行い, 側枝の再生生長を促進させるときは, これに伴つて葉の含水率, 蛋白質含量を増大し, 炭水化物含量及び細胞液屈折率を低下せしめるが, これ等の葉質の変化は柞蚕の蚕作を明かに良好ならしめる。