著者
大場 雄二 小島 孝昭 白石 武昌
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.429-437, 2000-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
25

腰痛治療点として臨床的に良く用いられる「委中」は「遠位取穴・遠位経穴刺鍼」として知られている。その「委中」刺鍼刺激の意義を検討した。経穴の応答性を腎兪で被験者一人につき両側で、300回以上にも及ぶ電気刺激で得られた「強さ一時間曲線」から時値を求め、それに対する「委中」刺鍼刺激の影響を健康成人健常者 (男性6名、女性6名) と中等度腰痛患者 (男性6名、女性4名) で比較観察した。・健常者群では腎兪での応答性は、男の時値は女より低く、応答性は高いといえる。「委中」刺鍼により腎兪での応答性は男女とも大きな変化はなかった。・腰痛患者群の腎兪での応答性は、健常者群と比し、著明な上昇 (痛み・過敏) が認めらた。その反応は、遠位経穴「委中」刺鍼により、明らかな時値の上昇即ち応答性の低下が認められ、「遠位経穴・委中刺鍼」に依る鎮痛効果が示唆された。・臨床上の「委中」刺鍼による腰痛に対する治療効果とその意義を考察した。