著者
小林 尚司 西口 真嗣 大塩 哲視
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 農業編 (ISSN:13477722)
巻号頁・発行日
no.57, pp.37-43, 2009-03

レタスビッグベイン病の防除対策として耐病性品種や開発した各種の防除技術について、どの程度の被害軽減効果があるかを表すため、階級別収量から求めた粗収益に基づく評価を試みた。1.試験1.耐病性品種の評価。2007年10月2日に播種し、育苗した苗を10月31日に現地汚染圃場に定植し、2008年2月13日に収穫調査を行った。発病株率は、慣行品種の「サントス2号」が90%以上の高い値を示す中、「T-0570」、「05-218」、「安濃2号」、「A608」、「TE-236」、「パシフィック」は30%未満の値を示し耐病性が強かった。球の肥大性は、「T-0570」、「TE-236」、「UC-021」、「YL219」、「安濃2号」、「A608」で球重が400g以上、推定体積が1,400cm3以上と優れた。球の形状では、「T-0571」、「LE293」、「05-218」が秀品率70%以上と高かった。収穫物を出荷基準により品質・大きさ別に分類し、市況より求めた各階級別の単価を乗じ算出した粗収益は、「YL219」が50.7万円、「TE-236」が44.6万円、「05-218」が38.6万円、「安濃2号」が37.0万円であった。2.試験2.防除技術の組合せの評価。「サントス2号」の慣行栽培では発病株率98.9%、収穫株率76.7%、結球重383gとなり粗収益は30.3万円であるのに対し、定植時のチオファネートメチル水和剤処理では発病株率73.0%、収穫株率90.0%、結球重416gとなり粗収益は40.2万円と約10万円増加し、定植前にカーバムナトリウム塩液剤処理を行うと発病株率0%、収穫株率100%、結球重533gと優れ、粗収益は64.1万円と最も高くなった。3.以上より、粗収益に基づく評価法は、耐病性品種では、実用性の高い品種の選定が可能となり、防除技術の組合せでは、投入した資材費に対する効果の比較が可能となり、開発した技術の普及性の評価に有効であると考えられる。