- 著者
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栗山 志帆
大多和 泰幸
村岡 孝幸
中川 仁志
鷲尾 一浩
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.10, pp.1805-1809, 2021 (Released:2022-04-30)
- 参考文献数
- 12
G-CSF製剤投与後大型血管炎の報告例は増加しているが未だ少なく,病態も不明な点が多い.今回,術後補助化学療法中のpegfilgrastim投与後に発症した2例を経験したので報告する.1例目は78歳の女性.右乳房全切除+腋窩リンパ節郭清を施行(浸潤性小葉癌,pT2N2aM0,Stage IIIA).術後TC療法を開始し,1コース目のDay3にpegfilgrastimを投与した.Day6より発熱および炎症反応の上昇を認めた.2例目は70歳の女性.右乳房切除を施行(浸潤性乳管癌,pT1cN0M0,Stage IA).術後TC療法を開始し,1コース目のDay3にpegfilgrastimを投与した.Day13より発熱・腰痛および炎症反応の上昇を認めた.2例とも造影CTで診断確定した.G-CSF製剤の使用頻度の増加に伴い,大型血管炎の発症例が増加する可能性があり,更なる症例の蓄積が必要と考えられる.