著者
大島 健司
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

がん細胞は、自身の生存に有利になるように、正常組織とは全く異なる代謝動態を獲得していることが知られており、がん特異的な代謝経路の同定とそれを標的とした治療法の開発が近年試みられている。我々は中枢神経系でのみ機能が明らかにされていたセリンラセマーゼという代謝酵素が、大腸がんにおいてL-セリンからピルビン酸を産生する新たながん代謝経路を担い、がん細胞の増殖を促進することを明らかにした。そして、セリンラセマーゼ阻害剤が大腸がん細胞の増殖を抑制し、さらには従来の抗癌剤である5-フルオロウラシルとの併用で大腸がん細胞の増殖を顕著に抑制することを明らかにした。