著者
笠井 寛司 青地 秀樹 大島 正義
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-130, 1978-03-01 (Released:2011-10-11)
参考文献数
12

Human sexual behaviorについて種々の報告がなされているが, infertilityの原因が臨床的に婦人に基づくものではなく, testicular blopsyを含む諸検査の結果, azospermiaでありその責が男性に帰すと思われるcouplesの性生活の実態を報告する. 如様な対象によるSexual lifeの実態報告は他に類をみない. 婦人に臨床的な事実を告げる以前の調査であるが, 統計的にみると所謂normal couplesと比較すると, 一言でいえばpoorであり婦人がより積局的である. 人工授精等子供を与える方法はあっても, それだけでこれら夫婦を繋ぐ解決になるか否か, 見方を変えればpsychosocial tragedyとさえ思われる.
著者
岡村 均 原田 攻 森川 博史 大島 正義 西村 敏雄
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.811-816, 1977-07-01

ヒトにおいて,排卵時に卵胞腔内から放出された卵が卵管内に移行する機構については,一般的に卵管采によるpick-up mechanismがいわれているが,いまだ詳細に検討されていない点が多い.この問題解明のため,われわれは卵巣と卵管采の間に存在する卵管間膜,mesotubarium ovarica (MTO)を超微形態学的に検索し、このMTOに微細構造上典型的な平滑筋細胞が束状に存在し,しかも卵巣と卵管采を機能的に連絡しているかのごとき配列を呈していることを観察した.MTOの構成成分はこの平滑筋の他に血管とcollagen fibersでありmast cellのような遊走細胞も観察された.卵管間膜表面被覆上皮細胞にはciliaは全く観察されない.従つて排卵時に卵胞壁の収縮により卵胞腔から排出される卵は卵管間膜表面構造によつて移送されるのではなく,この卵胞の運動と同調したMTOの収縮により卵巣に近接する卵管采によつて直接pick-upされるものと考えられる.