著者
新井 利明 関口 知己 佐藤 雅英 木村 信二 大島 訓 吉澤 康文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.2492-2504, 2005-10-15
被引用文献数
3

オペレーティングシステム(OS)はこれまでに多くのものが開発されているが,ユーザの要求が多様であり,すべての要求を満足するOS開発は不可能に近い.そこで,1台のマシン上に汎用OSと特定の目的を持つ専用OSを共存させ各々機能補完する仮想計算機機能のナノカーネルを提案し,実現した.豊富なソフトウェア資産を活用できる汎用OSと特殊機能を有する専用OSを1台のマシン上に共存させ,互いに機能補完させることができる.ナノカーネルは,上記の目的を達成するために,(1)複数OS共存オーバヘッドを削減するための資源分割機能,(2)OS間の機能補完を可能とするOS間連携機能,(3)OSの信頼性を向上させる障害監視,回復機能と擬似不揮発メモリ機能などで構成する.これらの限定した機能を実現することで,ナノカーネルは複数OSの共存を可能とし,補完環境をオーバヘッド2%以内で達成できることを確認した.また,汎用OSとリアルタイムOSの共存環境を構築し,汎用OS環境では不可能であったマイクロ秒単位の応答性を確保できることを確認し,ナノカーネルの持つOS間機能補完を実証した.さらに,専用の高信頼OSからの汎用OS障害情報の収集や汎用OSの再起動処理を実現し,システムの信頼性向上にも有効であることを確認した.Although various kinds of Operating Systems (OSs) have been developed so far, a user hardly finds the OS satisfying all the users' needs completely. We proposed and developed a kind of virtual machine called Nanokernel, which effectively enables a general purpose OS and a special purpose OS co-exist in one machine and complement each other. By complementing general purpose OS with rich software and special purpose OS with special function, Nanokernel realizes the environment which meets variety of users' needs effectively. We restrict Nanokernel functions to resource partitioning for lower overhead, communication between OSs for function complement between them, and failure detection and fast recovery for reliability, to achieve the purpose effectively. By restricting Nanokernel functions above, Nanokernel achieves the multi-OS co-existing environment less than 2% overhead. The Nanokernel environment with a general purpose OS and a realtime OS showed that Nanokernel relieves the lack of realtime property of the general purpose OS and establishes micro-second order response time. Moreover, even when the general purpose OS crashes, the realtime OS can survive, get the information for the failure from the general purpose OS and execute the general purpose OS restart process, so that Nanokernel is useful for enhancing system reliability.
著者
新井 利明 関口 知己 佐藤 雅英 木村 信二 大島 訓 吉澤 康文
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.2492-2504, 2005-10-15

オペレーティングシステム(OS)はこれまでに多くのものが開発されているが,ユーザの要求が多様であり,すべての要求を満足するOS開発は不可能に近い.そこで,1台のマシン上に汎用OSと特定の目的を持つ専用OSを共存させ各々機能補完する仮想計算機機能のナノカーネルを提案し,実現した.豊富なソフトウェア資産を活用できる汎用OSと特殊機能を有する専用OSを1台のマシン上に共存させ,互いに機能補完させることができる.ナノカーネルは,上記の目的を達成するために,(1)複数OS共存オーバヘッドを削減するための資源分割機能,(2)OS間の機能補完を可能とするOS間連携機能,(3)OSの信頼性を向上させる障害監視,回復機能と擬似不揮発メモリ機能などで構成する.これらの限定した機能を実現することで,ナノカーネルは複数OSの共存を可能とし,補完環境をオーバヘッド2%以内で達成できることを確認した.また,汎用OSとリアルタイムOSの共存環境を構築し,汎用OS環境では不可能であったマイクロ秒単位の応答性を確保できることを確認し,ナノカーネルの持つOS間機能補完を実証した.さらに,専用の高信頼OSからの汎用OS障害情報の収集や汎用OSの再起動処理を実現し,システムの信頼性向上にも有効であることを確認した.
著者
青木 英郎 長井 昭裕 関山 友輝 大島 訓
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-6, 2012-07-25

マルチコアのサーバにおいて,メモリ回収専用コアの割当てにより,リアルタイム性を必要とするアプリケーションがオーバヘッドの低い安定的なメモリ確保を可能とする手法を述べる.計算機の低価格化にともない,高信頼性、安定性が求められる制御システムでも,PC アーキテクチャを基にした計算機と Linux などの汎用 OS が利用されるようになってきた.汎用 OS のメモリ管理では、プロセスやディスク I/O のページキャッシュに、可能な限りのページを割り当てる.このため、メモリ管理機構は,新たなページ割当て要求に対して、オーバヘッドの高いページ回収処理を実行しないと、要求されたメモリが割り当てられない状況が発生する。本研究報告では,ページ回収の契機となる閾値をコアごとに設定できるようにし,コアごとに異なるポリシでページを回収する.これを利用することで,アプリケーションの実行コアに回収が発生しない低い閾値,ページ回収コアに高い閾値を設定するシステムが設計できる.評価により,コア別のページ回収は,システムのメモリ負荷が高くなった場合にでも,アプリケーションの実行を保証する仕組みとして有効であることを確認した.This technical report presents a method to ensure that real time applications allocate memory with low overhead memory by assigning memory reclaiming core in multicore server. Nowadays, PC based computers and general purpose operating systems are popularly used for control systems. In general purpose operating systems like Linux, memory manager allocates pages as much as possible for processes and disk I/O cache. Thus, in many cases, new page allocation would cause page reclaiming, which is very high overhead procedure. The method that we propose enables memory manager to have different page reclaiming thresholds for each core. To use this method, system administer can set page reclaiming policy to cores. If the threshold is low, the core is able to use for running real time application. Moreover, page reclaiming core has high threshold. In our evaluation, the method is feasible to insure execution of application against high memory pressure.