著者
大島 道雄
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.71-117, 2018-02-25 (Released:2019-04-09)
参考文献数
23

2017年は損害保険自由化後20年目にあたる。本稿はこれを機に,自動車保険の自由化後の推移を,自由化以前・以降の長期間のデータを用い考察したものである。 自由化に関しては,10周年を機に,主に自動車保険を対象とした研究等がなされ,競争による保険料の低廉化,事業費率の低下,商品・販売方法の多様化等が自由化の成果として,総じて高い評価が与えられている。しかし,データの検証が不十分と思われる研究や,当時の研究成果では説明困難な実績が認められる。このため,損害保険全体の事業費率,および事業費の主要な費目である代理店手数料の手数料費率の推移,自動車保険の事業費率および保険料単価の推移,純率に影響を与える諸要素の動き,損害率の内訳を調査した結果,自動車保険に与えた自由化の影響は従来の評価とは大きく異なっていることが明らかになった。 本稿は自由化後の自動車保険の推移に関して,従来とは異なった見解を提示するものである。