著者
大崎 遥花
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

リュウキュウクチキゴキブリは、配偶時に雌雄が互いの翅を付け根付近まで食い合う。翅の食い合いは性的共食いの一種とみなせるが、これまでは決まった性が異性を食う一方的な性的共食いしか報告がない。食われた個体は将来の繁殖成功が著しく低下する。このため性的共食いは性的対立の究極的な例と考えられている。性的対立とはオスメス間の利害対立であり、子を残す最適な戦略は雌雄で異なるために生じる。よって性的対立は生物の生態や行動の進化を理解する上で鍵となる重要な概念である。両性が互いに食い合う初の性的共食いである翅の食い合いの意義を解明することで、性的対立の理解に大きく貢献し、新たな雌雄の繁殖戦略の知見を提供する。