著者
大平 芳則 阿志賀 大和 粟生田 博子 篠崎 雅江 田中 善信
雑誌
新潟リハビリテーション大学紀要 = Niigata University of Rehabilitation Bulletin (ISSN:21890684)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.21-26, 2016-12-01

目的:語彙力と学業成績との間に関連があるかどうかを確認し、学生指導に役立てるための基礎データを得ることを目的とした。対象と方法:学生56名を対象とし、語彙力の測定に語彙・読解力検定を、学業成績の測定にGPAを用いて、両者の相関を調べた。結果:語彙・読解力検定の合格率は57.1%(32/56)、辞書語彙スコアの平均は420.5±79.8であった。GPAの平均は2.29、中央値は2.3となった。辞書語彙スコアとGPAの相関は、不合格者についてのみ有意になり(r=0.536, p<0.05)、合格者では有意な相関はなかった(r=0.146)。結論:不合格者に有意な相関を認め、合格者には相関がなかったことは、辞書語彙が乏しいと学業成績に影響を与える可能性を示唆している。ただし、辞書語彙が一方的に学業成績に影響するとは考えにくく、両者は互いに関係しあっているものと思われる。語彙を増やすための授業を実施すること、読書を積極的に推奨することが、学業成績改善につながる可能性がある。
著者
苅安 誠 大平 芳則 柴本 勇
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.354-359, 1991-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
19

吃音 (発達性・後天性) , 失語症 (伝導・ブローカ) および健常成人の4コママンガの説明課題の発話サンプルをもとに, 発話流暢性を比較した.この結果, 非流暢率では脳損傷群, 吃音率は吃音群の方が高く, 健常群はいずれも低かった.主な非流暢性のタイプは, 後天性吃音で語句のくり返し, 発達性吃音で語の一部分のくり返しとブロック, 失語症群は語句のくり返しと挿入, 健常群は挿入であった.非流暢性の質的側面からみると, 後天性吃音は, 吃音の類型ではなく, 同じ脳損傷後遺症である失語症と発話の障害メカニズムが似ていると考えられる.