著者
大月 博司
出版者
経営哲学学会
雑誌
経営哲学 (ISSN:18843476)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.75-89, 2022-01-31 (Released:2022-04-08)
参考文献数
17

サステナビリティは、地球環境への負荷が高まり、人間が快適に住めなくなる恐れから使われるようになった用語である。そして、その対策として今や各国の政策や立法の場で広く議論を呼んでいる。しかし、その用語の捉え方は一様でなく、具体的な策として皆が納得する策を見いだすには至ってない。こうした中で、企業にとっては持続可能な地球環境の保護問題より、持続可能な企業行動のあり方の方が喫緊の課題といえる。なぜなら、企業活動が国の経済を支え、グローバル経済の支えである一方、多くの人が企業活動との相互作用によって生計を立てているからである。そこで、企業サステナビリティを考えてみると、目的達成の手段たるテクノロジーの活用・開発次第で、企業の持続的活動が操作可能であり、影響を受けることが判明する。しかも、環境変化とともにテクノロジーも進化し、それを生かすも殺すも経営陣次第であることが想定できる。そこで、どのような経営なら持続可能な企業行動につながるかを論究すると、そこには環境変化に動じない経営哲学を保持する経営者像が浮かび上がる。そして、テクノロジーが進化して複雑化すると、その使い方は多様になる。しかし、経営者の行動基準である経営哲学が企業に浸透していれば、テクノロジーの活用方法が多様化しても逸脱する可能性は低く、サステナブルな経営を実現できる。