著者
田中 是 菊地 茂 大畑 敦 堤 剛 大木 雅文
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.11, pp.1301-1308, 2015-11-20 (Released:2015-12-11)
参考文献数
35

急性喉頭蓋炎は急速に気道閉塞を引き起こし, 死に至る可能性がある感染症である. 呼吸困難がある症例では速やかに気道確保を行うことは言うまでもないが, 喉頭蓋や披裂部などの腫脹はみられるものの呼吸困難を生じていない症例に対して気道を確保すべきか判断に迷うことが多い. 1998年1月から2014年12月までの17年間に埼玉医科大学総合医療センター耳鼻咽喉科において入院加療を行った急性喉頭蓋炎285例 (男性180例, 女性105例, 平均年齢49.6±16.3歳) についてその臨床像を後方視的に解析した. 咽頭痛は全例にみられ, 呼吸困難感を訴えた症例は62例 (21.8%) であったが, 他覚的に高度な呼吸困難症状を呈した症例は17例 (6.0%) であった. 気道確保を行った症例は27例 (9.5%) であった. また, 喉頭蓋および披裂部の腫脹の程度によって, 急性喉頭蓋炎の重症度を1点から5点まで5段階に重症度スコアとして評価した結果, 他覚的に高度呼吸困難症状を認めた症例および気道確保を要した症例はすべて重症度スコアが4点以上であり, 今後前方視的な検討を要するものの, 重症度スコアは気道確保の適応を決定する上で有用と思われた. さらに, 気道確保を施行した群と施行しなかった群とを比較すると, 前者では有意に初診時の白血球数と体温が高く, 咽頭痛出現から初診までの日数が有意に短かったが, 初診時の血清 CRP 値は両群間で差はなかった.