- 著者
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大本 洋
- 出版者
- 一般社団法人日本地球化学会
- 雑誌
- 日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.162, 2017 (Released:2017-11-09)
生物の発生と進化は、地球表層環境水における種々の重金属の存在量によって規定される。生物にとって重要な重金属元素は、その元素を多量に含む鉱物の溶解度がpO2 にどのように依存するかによって、二つのグループに分けられる。第一のグループは溶解度が酸化的条件で低くなり、岩石の風化の過程で土壌に固定される元素類(Fe, Mn, Ni, Pbなど)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に非常に少なくなる。第二のグループは溶解度が酸化的条件で高くなり、岩石の風化の過程で土壌から溶脱される元素類(Cr, Mo, W, U など)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に 高くなる。太古代の古土壌、堆積岩、及び海底熱水鉱床に伴う変質帯における、第一と第二 グループの重金属元素の挙動は、顕生代のものと基本的には、同じであるが, 海水中の第二グループ元素の存在量は現在より高かった可能性がある。