著者
山岸 明彦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.160, 2017 (Released:2017-11-09)

国際宇宙ステーションきぼう曝露部を利用した「たんぽぽ計画」は、エアロゲルを用いた微粒子の採集と微生物及び有機物の曝露実験を行うことから、生命の起原に関わる二つの仮説、パンスペルミア仮説と有機物宇宙飛来説の検証を目的としている。宇宙実験は2015年5月に開始され,2016年8月に初年度試料が地球に帰還した。現在,約1年間宇宙環境に曝露された試料を曝露プレートから回収し,分析する作業が進行中である。本発表では全体像と曝露サンプル初期解析結果を報告する。
著者
ダニエラチェ セバスティアン 吉川 知里 梶野 瑞王 伊藤 聡士 掛谷 航 吉田 尚弘 五十嵐 康人
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.62, 2017 (Released:2017-11-09)
被引用文献数
1

We present a numerical study carried out with a regional Eulerian-Lagrangian hybrid model to account for the transport, deposition and radioactive decay of 35S in Sulphur Dioxide and sulfate aerosols emitted into the atmosphere at the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant incident.
著者
高田 秀重
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.222, 2017 (Released:2017-11-09)

年間に世界で3億トンのプラスチックが生産されている。その約半分は使い捨てのプラスチックである。廃プラスチックのうち陸上の廃棄物管理からもれた部分が、降雨時の表面流出等により河川、そして海洋へ流入する。ポリエチレンやポリプロピレンは水より密度が小さく、浮いて遠距離輸送される。それらは海洋表層や海岸で紫外線に曝され、劣化し、破片となっていく。劣化、破片化が進み5mm以下になったプラスチックがマイクロプラスチックと呼ばれている1)。これらのプラスチック製品の破片の他に、洗顔料や化粧品の中のスクラブ等のマイクロビーズ2)、化学繊維の衣類の洗濯屑3)、スポンジの削れかすなどの寄与も指摘されている。世界の海洋に5兆個、27万トンのプラスチックが浮遊していると推定されている4)。これらのマイクロプラスチックの地球化学的な意味について本稿では考えてみたい。
著者
上地 佑衣菜 植村 立
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.219, 2017 (Released:2017-11-09)

近年、水のδ17Oの高精度測定が可能になり、δ18Oとδ17Oを組み合わせた指標である17O-excessが提案された。17O-excessは海洋上の蒸発における分子拡散により生じると考えられて、その変動メカニズムはd-excessと同様である。しかし、17O-excessはd-excessよりも降水過程による変質が少ないと考えられている。本研究では、アジアモンスーン地域における17O-excess変動を明らかにするために、沖縄島での降水の測定を行った。沖縄島の降水の17O-excessには季節変動があり、d-excessと強い相関関係を示した。この結果は沖縄島の降水の17O-excessが海洋での蒸発時の分子拡散の強度を反映している事を示唆している。
著者
辻阪 誠 高野 祥太朗 平田 岳史 申 基澈 村山 雅史 宗林 由樹
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.45, 2017 (Released:2017-11-09)

海底堆積物中の元素濃度や同位体比は,堆積物が堆積した時代の海洋組成を反映するため,古海洋復元の重要なプロクシとなる.本研究では,北海道岩内町沖で航洋丸にて1998年11月に採取された日本海中層海底堆積物IWANAI No.3(43°22’36.0N
著者
横山 哲也 深井 稜汰 辻本 拓司
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.201, 2017 (Released:2017-11-09)

従来、太陽系に存在するr-核種の起源は重力崩壊型超新星爆発であると考えられてきたが、いくつかの理論モデルや天文観測からは、質量数130以降の重いr-核種の起源として、連星中性子星の合体が示唆されている。本研究では、未だ不明点の多いr-核種の起源に関し、隕石全岩に見られる重元素同位体異常から制約することを試みた。コンドライト隕石はSr, Zr, Mo, Ruといった元素に関し、地球に比べr-核種に富む傾向を持つ。これは微惑星形成以前の初期太陽系において、これら元素の同位体が不均質分布していたことを意味する。地球組成で規格化したr-核種の濃縮度をコンドライト隕石について計算したところ、濃縮度はZrで最大となった後、質量数の増加とともに低下し、Sm以降はほぼゼロとなった。従って、超新星粒子はSm以降のr-核種を含んでいなかった可能性が高く、太陽系内のSm以降の重いr-核種の起源は連星中性子星の合体が有力である。
著者
風早 康平 高橋 浩 森川 徳敏 高橋 正明 東郷 洋子 安原 正也 佐藤 努 岩森 光 田中 秀実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.35, 2017 (Released:2017-11-09)

スラブに含まれる水は,間隙水(H2O)と鉱物水(OH)の2種類があり,前者は沈み込みに伴う圧密によりスラブから絞り出され,比較的低圧側で放出される.また,後者は温度・圧力の上昇とともに含水鉱物の分解により放出される.Jarrard (2003)やHacker (2008)により世界の沈み込み帯における水収支の見積もりが行われている.本講演では,まず,西南日本弧(フィリピン海プレート:南海トラフ)と東北日本弧(太平洋プレート:日本海溝)について,沈み込み帯における水収支について示す.そして,これらの地域の掘削井や温泉に含まれるスラブ起源水の化学的指標(Li-Cl-Br)を用いて,スラブ起源水の空間分布の特徴と沈み込み帯の構造の関係について議論したい.
著者
大場 武 谷口 無我 代田 寧
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.141, 2017 (Released:2017-11-09)

箱根山,草津白根山,霧島硫黄山で,火山ガス組成と地震活動の間に調和した傾向が見られた.これは火山ガス観測が火山活動の評価に有用であることを証明している.観測頻度の高い箱根山では群発地震の前兆もとらえることができた.火山における地震は,地殻内の流体圧の上昇により起きると考えられる.流体圧の上昇を引き起こすのがマグマから脱ガスした揮発性成分であり,それを成分として含有する噴気を観測することは,火山活動を評価する近道である.一方で,火山ガスの観測はいまだ人手に頼っており,火山ガスを本格的に火山活動評価に用いるには観測の自動化は避けて通ることができない.
著者
大本 洋
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.162, 2017 (Released:2017-11-09)

生物の発生と進化は、地球表層環境水における種々の重金属の存在量によって規定される。生物にとって重要な重金属元素は、その元素を多量に含む鉱物の溶解度がpO2 にどのように依存するかによって、二つのグループに分けられる。第一のグループは溶解度が酸化的条件で低くなり、岩石の風化の過程で土壌に固定される元素類(Fe, Mn, Ni, Pbなど)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に非常に少なくなる。第二のグループは溶解度が酸化的条件で高くなり、岩石の風化の過程で土壌から溶脱される元素類(Cr, Mo, W, U など)。その結果、海水や地表水におけるこれらの元素の存在量は一般的に 高くなる。太古代の古土壌、堆積岩、及び海底熱水鉱床に伴う変質帯における、第一と第二 グループの重金属元素の挙動は、顕生代のものと基本的には、同じであるが, 海水中の第二グループ元素の存在量は現在より高かった可能性がある。
著者
山本 正浩 中村 龍平 笠谷 貴史 熊谷 英憲 鈴木 勝彦 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2017 (Released:2017-11-09)

深海熱水噴出孔では海底面から熱水が噴出し、周囲の海水によって冷却されることで鉱物が沈殿し鉱体が形成される。我々はこの鉱体の主要成分である硫化鉱物が導電性を持つことを明らかにしている。鉱床下に存在し、海底に湧出する熱水は還元的な化合物(硫化水素、水素、メタン)に富み、海底面から浸透し鉱床近傍で接する海水は酸化的な化合物(酸素、硝酸、硫酸)を含む。我々は、熱水中の還元剤の持つ電子が硫化鉱物を介して海水中の酸化剤に受け渡される放電現象の存在を提唱し、実際にこの現象が深海熱水噴出域の海底の広域で起きていることを現場電気化学計測によって明らかにした。また、この放電現象を人為的に制御することで発電技術として利用可能であることも明らかにしている。本発表では、上記について説明するとともに、今後の深海底発電技術の開発、およびその模擬として行っている陸上温泉での発電試験の結果についても紹介する。
著者
桜庭 真依子 角野 浩史 松崎 浩之 楠野 葉瑠香 川本 万里奈 徳山 裕憲 小豆川 勝見 堀 まゆみ 丸岡 照幸 藪崎 志穂
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.63, 2017 (Released:2017-11-09)

地下水資源の開発や利用にはその流動過程を把握するため、涵養地や滞留年代を知ることが重要である。福島県においては、福島第一原発の事故によって放出された放射性物質の環境中の挙動が調べられてきたが、地下水については報告例が少なく、地下水資源利用に際してその安全性を評価する必要がある。そこで本研究では、ヨウ素129及びトリチウム-ヘリウム年代測定法を用い、福島県の地下水の原発事故による汚染状況を明らかにすること、及び長期的な地下水資源の安全性を評価することを目的とした。地下水中のヨウ素129と安定同位体であるヨウ素127の比、及び希ガスMSで定量を行った3Heより求めた3H濃度からは現時点での汚染は確認できなかった。一方トリチウム-ヘリウム年代測定法より求めた滞留年代の最小値は14年となり、今後汚染された水が出る可能性は否定できないと考えられる。
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 伴 雅雄
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.143, 2017 (Released:2017-11-09)

蔵王火山は東北地方の代表的な成層火山の1つで、約100万年前から活動を開始し、現在まで活動を維持している。2013年からの火山性微動や山頂部のわずかな隆起など、活発になっている火山活動の監視の観点からも、現状をモニタリングできる湖水、湧水などの希ガスデータが必要である。今回、蔵王周辺の湖水・温泉水について、希ガスの同位体比と元素存在度を測定し、He-Ne同位体比を用いて、温泉水などへのマグマからの寄与の判定を行った。測定の結果、He-Ne同位体比に関しては、同位体比は大気に近い値が得られたが、混合曲線を描いて検討した結果、大気中の希ガス同位体比に比較して、わずかにマントル起源のガスの混入が示唆された。
著者
大城 康輝 當山 美和 池田 哲也 棚原 朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.277, 2017 (Released:2017-11-09)

沖縄県南大東島にある星野洞内の大気中222Rnの濃度変化について測定を行ったところ、これまでに報告例のない特異的な変動を示すことが分かった。一般的な洞窟における大気の循環は、洞窟内外の空気密度差によってもたらされている。また、台風時に強風が洞窟内に吹き込むことによって換気が起こることも知られている。しかし、星野洞における大気中222Rn濃度の変動は潮の干満によってもたらされている。また、台風時に突発的な222Rn濃度の上昇も確認されている。南大東島はその特有の地理的環境から、島内部に海水が浸透しており、島中央部にある湖や地底湖の水面も海面の上下動と連動して動いている。これが洞窟内大気の222Rn濃度の変動に影響を与えていると考えている。また、台風時の突発的な濃度上昇についても現在調査中である。