著者
大杉 祥広 石井 弘明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-50, 2009-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

在来種ネズミモチと外来種トウネズミモチの生理・形態特性の違いを明らかにするため,兵庫県の西宮神社の社叢において両樹種の分布パターンおよび様々な光環境に生育する個体の光合成や形態を測定した。ネズミモチは林内にランダムに分布していたが,トウネズミモチは林縁に偏って分布していた。ネズミモチの最大光合成速度(A<SUB>max</SUB>)やクロロフィル・窒素量は光環境によって変化しなかった。一方,トウネズミモチのA<SUB>max</SUB>は,暗い環境ではネズミモチと同程度であったが,明るい環境ではネズミモチより高い値を示し,クロロフィル・窒素量も変化した。また,トウネズミモチは明るい環境における枝葉の展開が旺盛で,このような生理・形態特性が林縁におけるトウネズミモチの拡大に寄与すると考えられる。