著者
大村 繁夫
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.732-740, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

局所麻酔薬の血中濃度が上昇すると, 中枢神経毒性ならびに心毒性が発現する. なかでもブピバカインによって引き起こされる心毒性は重篤で, 蘇生困難な心停止が引き起こされる危険性が指摘されている. 従来, 決定的な蘇生法はなかったが, 近年, 有望な蘇生法としてLipid Therapyが提唱された. ブピバカインに代わる長時間作用性局所麻酔薬として, ロピバカインならびにレボブピバカインが開発されてきた. これらはいずれもS体のみから構成され, ブピバカインと比較して安全性の高い薬剤である. しかしながら, 局所麻酔薬中毒が引き起こされる可能性は依然として存在するので, その使用に際しては注意を怠ってはならない.