著者
大東 実里 星野 聡子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.102_3, 2018

<p> 「挑戦か脅威か」という認知的評価は自律神経に作用して心臓血管系応答を乱し、競技場面においてはパフォーマンスに影響を及ぼすと考えられる。スポーツパフォーマンスの予測可能性を自律神経系活動に求めることを目的として、本研究では、認知的評価と自律神経系活動の関係を心拍変動から検討する。剣道団体戦の代表戦場面というストレス事態下を想定し、等身大に提示した競技レベルの異なる対戦相手(High、Middle、Low条件)に対して有効打突を決めるイメージで対峙することを課題とした。自律神経活動は対峙5分間の心拍数および心拍変動スペクトル解析からLF成分(0.04~0.15Hz)とHF成分(0.15~0.4Hz)を、またLF/HF、LF/total、HF/totalによって評価した。その結果、相手の競技レベルが自身より高いと認知したHigh条件と低いと認知したLow条件では、自身の競技レベルと近いMiddle条件よりも交感神経活動の促進と副交感神経活動の抑制が示された。すなわち、認知的評価に伴う緊張や退屈による覚醒水準の推移に伴って、交感神経活動はU字を、副交感神経活動は逆U字を描くということが示唆された。</p>