著者
関口 貴裕 大東 玲子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.156, 2007 (Released:2007-10-01)

顔記憶の個人差と,顔に対する記銘時の注視パタンの関係を眼球運動計測により検討した。実験参加者45名に,液晶ディスプレィ上に提示された未知の人物20名(動画)の印象判断を行わせ(偶発記憶課題),その際の注視パタンを記録した。そして8分間の挿入課題の後,写真刺激を用いて先ほど見た顔に対する再認記憶課題を実施した。顔記銘時の注視パタンを再認記憶成績高群,低群で比較したところ,両群ともに眼,鼻,口の内部特徴を,頬,額,輪郭,髪の外部特徴に比べ長く注視していたが,内部特徴に対する注視時間は高群の方が低群よりも長く,外部特徴に対する注視時間は低群の方が高群よりも長くなっていた。この結果から,顔の内部特徴を長く注視することが顔記憶に促進的であり,顔を見た場合にどの領域をより長く注視するかの違いが顔記憶の個人差に関わることが示唆された。