著者
大林 浩幸 原田 武典 平井 房夫 松下 次用 古田 悟 佐々木 明 野坂 博行 山瀬 裕彦
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.749-755, 2006 (Released:2006-03-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

今回,インフルエンザワクチン予防接種とインフルエンザ発生状況を調査し,高齢者を中心に,実際に予防接種の効果があったかを検討した。 平成14年度,15年度,16年度の3年にわたり,当院にて(1)インフルエンザ予防接種を実施した全患者,(2)鼻腔スワブ法の迅速検査を実施した全患者,(3)インフルエンザと診断された全患者,の各々をレトロスペクティブに調査した。 平成14年,15年,16年度と,年ごとに予防接種者数は増え,65歳以上がその70%以上を占めた。インフルエンザ発症患者の平均年齢は,平成14年度,15年度,16年度で各々42.9±21.3歳,34.9±20.4歳,45.4±20.2歳であり,高齢患者層と比較し,若・中年齢層のワクチン未接種者の発症を多く認めた。一方,高齢患者層では,ワクチン既接種にかかわらず発症した患者があった。 ワクチン接種率の高い高年齢者層では,インフルエンザ発症が少なく,その予防効果を認めた。一方,高齢患者において,ワクチン既接種にもかかわらず発症する例があり,注意すべきである。