著者
蜂須 貢 大林 真幸 船登 雅彦 芳賀 秀郷 上間 裕二 三邉 武幸 向後 麻里
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.187-192, 2021 (Released:2021-07-06)
参考文献数
11

高度な集中力をもって被検者がパフォーマンスを発揮する場合に自律神経活動がどの様に変化するかを明らかにすることを目的として,デッドリフト(DL)直後の自律神経機能の変化を検討した.被検者は常時ウエイトトレーニングを行っている10名(30.0±15.0歳)とした.DLの重量は本人の最大挙上重量の90%(90%max)を基準とし,初日の2回と1週間以上間隔をあけた2日目の1回,計3回それぞれ行った.また,最大挙上重量の90%±5 kgの3重量における自律神経機能への影響を検討した.自律神経機能は心電図を自律神経機能解析ソフト「きりつ名人((株)クロスウエル)」で解析した.測定項目は安静座位時2分間のCVRRとccvL/H,立位時のΔCVRRとΔccvL/Hおよび立位継続時1分間のccvHFである.90%maxのDLの自律神経機能への影響を間隔をあけ3回観察したが有意差は認めなかった.90%max±5 kgのデッドリフトでは重量依存的に心拍数が増加し,90%max−5 kg時の心拍数増加と比較して+5 ㎏で有意な増加を認めた.きりつ名人スコアは90%max−5 kgと比較して90%max時で有意に値を低下し,自律神経機能のバランスの崩れを認めた.
著者
蜂須 貢 大林 真幸 船登 雅彦 落合 裕隆 芳賀 秀郷 上間 裕二 三邊 武幸 向後 麻里
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2188529X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.453-458, 2022-01

デッドリフトはパワーリフティング競技3種目の中で最も重い重量を扱うため,精神統一し試技の終了まで無呼吸で行うことが多く,自律神経活動への影響が大きいと考えられ,デッドリフト直後の自律神経活動は競技者のパフォーマンス発揮を知る上で重要である.一方,デッドリフトは試技の開始から終了まで一般的に歯を噛み締めバーベルを挙上するため,カスタムメイドマウスガード(CMG)の影響を観察するには適していると考えた.被検者は常時ウェイトトレーニングを行っている10名(30.0±15.0歳)とし,心電図から自律神経活動解析ソフト「きりつ名人((株)クロスウエル)」を用い自律神経活動を解析した.測定項目は安静座位(2分間) および立位時の心拍変動係数(CVRR),低頻度と高頻度心拍変動係数比(ccvL/H)および立位継続(1分間)時の高頻度心拍変動係数(ccvHF)である.重量変化による自律神経活動への影響は最大挙上重量の90%を基準とし,これに±5kgの重量を追加した.その後2mmあるいは4mm厚のCMGを口腔内に装着し基準重量である最大挙上重量の90%のデットリフトに対する影響を検討した.CMGは各人の歯列に合わせEthyl vinyl acetate sheetを加熱成形し,第一大臼歯部で厚み2mmおよび4mmとなるように製作した.統計解析は分散分析を行いその後Bonferroniの多重比較を行った.重量依存性の心拍数変化(ΔHR)は90%−5kg時のデッドリフトと比較して,±0kg(90%時)で増加傾向,+5kgで有意な増加を認めた.CMG装着の影響はCMG装着なしに比べCMG 4mm装着の場合ccvHFが増大する傾向を示した.ccvHFの値の低下はトレーニング負荷量やそれによる疲労感と関係することが報告されていることからCMG装着は疲労を軽減する傾向にあると思われる.