著者
土師 誠二 大柳 治正
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.447-454, 2007 (Released:2008-03-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

経口摂取量の減少を伴いやすい高齢者では低栄養や脱水症に陥るリスクが高く、静脈栄養が重要な位置を占める。しかし、高齢者の静脈栄養管理に際しては、まず高齢者の特性について理解しなければならない。高齢者では加齢に伴う水分電解質代謝、栄養基質代謝をはじめ諸臓器機能にも変化が生じ、さらに個体差も大きいことから、個々の症例に応じたきめ細かな管理が重要である。すなわち、水分・電解質異常の補正、低栄養状態の改善、耐糖能低下による術後高血糖の防止、アミノ酸投与による蛋白代謝の改善に留意すべきである。また、静脈路確保が困難な脱水症例では皮下輸液も選択肢の1つとなる。