著者
大森 圭美 森 千鶴
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_25-34, 2012-09-20 (Released:2012-10-16)
参考文献数
29

目的:統合失調症者の病気の認識に影響する要因間の関連を明らかにすることを目的とした.方法:入院中の統合失調症者に対面形式での質問紙調査を行った.各要因の関連はスピアマンの相関係数を用い,「自己の疾病についての意識」を従属変数として重回帰分析(変数減少法)を行った.結果:対象者104名のうち63名から有効回答を得た.病気の自覚尺度と「自己の疾病についての意識」において「自己内省性」と関連が認められた.また,精神疾患の自覚の程度により病気の認識,自尊感情,精神障害者観の関連が異なることが認められた.「自己の疾病についての意識」を従属変数とした重回帰分析では「陰性尺度」「自己内省性因子」「自己確信性因子」「自尊感情尺度」,精神障害者観因子「能力」で構成されるモデルを得た.結論:統合失調症者の病識の認識向上の支援には現実的認知の促進,精神障害者観と自己価値の改善の必要性が示唆された.