著者
永井 大円 大森 理聡
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
デジタル教科書研究 (ISSN:21887748)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-19, 2020-09-30 (Released:2020-11-06)
参考文献数
15

本研究は,授業者のアイトラッカー(視線計測装置)の活用が,授業者の授業力向上に効果的であるかどうかを検証することを目的とした。授業者にアイトラッカーを使用してもらい,録画した画像を見ながらインタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った。また,動画編集ソフトを用いて画像を静止画として抽出し,カテゴリに分類した。これら二つを分析した結果,視線には,授業者の癖,意図的な視線,事後に意味づけられた視線の存在があることが明らかとなった。また,授業内で,気になる生徒が継続的に変化していた。この結果は,ビデオカメラによる定点撮影では困難であった授業者の授業時の視線とその意図の関係性を明らかにするものであり,意図的には気づくことができない指導を視覚化する上でアイトラッカーの使用が有用であることが示された。