著者
稲木 龍元
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
デジタル教科書研究 (ISSN:21887748)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-16, 2017-10-27 (Released:2017-10-27)
参考文献数
6

本稿は,A特別支援学校(知的障害)におけるICT活用の事例について,重度知的障害児を対象としたこと,学校における機器整備のプロセスを含めたこと,校務への活用を含めたことを特徴とした報告である.児童生徒に対する指導では,タブレットの導入プロセスから授業活用までの様子を報告した.校務では,アンケートでの活用や校内研究による業務効率化の様子を報告した.最後に,本実践に残された課題と他の特別支援学校に事例を一般化する際の留意点を議論した.
著者
小河 智佳子
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
デジタル教科書研究 (ISSN:21887748)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.24-36, 2014-08-12 (Released:2017-06-26)
参考文献数
30

デバイス、コンテンツ、ネットワーク整備、教員支援の4 つの観点から、デジタル教科書の導入費用を試算した。デバイスは、価格と使用年数についていくつかの選択肢を考慮した。コンテンツは、既存の教科書部分と教材部分に分けて費用の試算を行った。ネットワークは、学校と家庭での接続それぞれについて、初期費用と年間費用を試算した。教員支援については、支援が必要な教員にICT 支援員を配置する場合と、各学校に1 人の支援員を配置する場合の雇用費用を計算した。これら4 つの観点での計算から、全体として要する最大費用と最小費用を計算した。結果、既存の教科書の一年あたりの費用をそのままデジタル教科書費用に充てるのでは予算が足りないことが明確となった。現状の紙の教科書のように公費で賄っていくのか、私費負担を行っていくのかは、今後検討すべき課題のひとつであると考えられる。
著者
永井 大円 大森 理聡
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
デジタル教科書研究 (ISSN:21887748)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-19, 2020-09-30 (Released:2020-11-06)
参考文献数
15

本研究は,授業者のアイトラッカー(視線計測装置)の活用が,授業者の授業力向上に効果的であるかどうかを検証することを目的とした。授業者にアイトラッカーを使用してもらい,録画した画像を見ながらインタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った。また,動画編集ソフトを用いて画像を静止画として抽出し,カテゴリに分類した。これら二つを分析した結果,視線には,授業者の癖,意図的な視線,事後に意味づけられた視線の存在があることが明らかとなった。また,授業内で,気になる生徒が継続的に変化していた。この結果は,ビデオカメラによる定点撮影では困難であった授業者の授業時の視線とその意図の関係性を明らかにするものであり,意図的には気づくことができない指導を視覚化する上でアイトラッカーの使用が有用であることが示された。