著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.32-39, 2015-10-30

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている. 本研究では, 将棋の指し手の選択に注目し, コンピュータプログラムで棋風を実現する方法について提案する. 棋風としては, プレイヤが攻めや受けなど特徴を持つ指し手を選ぶ傾向についてに着目する. 棋風を統計的に分析した過去の研究を参考に攻めの特徴と受けの特徴を決め, 攻めと受けの棋風について, それぞれの特徴の現れているプレイヤの棋譜を選別する. そしてそれらの棋譜を教師に評価関数の機械学習を行う. 攻めの棋譜と受けの棋譜と分類して, 今回学習に使用する棋譜のパラメータへの影響を盤面図に色の濃度で表し, 攻めの棋譜と受けの棋譜で学習の際に影響が大きそうなところを確認した. また提案手法で学習したプログラムと学習前のプログラムで対戦実験を行い, 学習がうまくできているかどうかを確認した. さらに学習に使用した攻めの棋譜と受けの棋譜の一致率を攻めの棋譜を学習させたプログラムと受けの棋譜を学習させたプログラムで測り, それぞれのプログラムに違いを確かめた. 棋風の検証では, 受けに関する次の一手問題を題材に学習前のプログラムと比べてどういった違いがあったのかを確認した.
著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2374-2381, 2016-11-15

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている.本研究では,将棋の指し手の選択に注目し,コンピュータプログラムで個性を実現する一手法を提案する.人間における指し手の選択による個性は通常棋風と呼ばれるが,客観的な基準で判定可能なプログラムの棋風について本稿では議論する.提案手法では,指し手の客観的な分類基準を実現したい棋風となるべく関連付けて定め,それに基づいて棋譜を分類し,選別された棋譜で評価関数の学習を行う.これにより,棋風を反映した評価関数が得られることを示す.主要な題材として将棋の攻めと受けという概念について,棋譜の分類と評価関数の学習を行い,得られた評価関数の性質を報告し議論する.対局実験により,攻めと受けの好みについて,意図どおりの変化が指し手に現れたことを確認した.また,提案手法で学習したプログラムと学習前のプログラムとの対戦実験から,棋力の低下は勝率40%程度に抑えられていることを確認した.There are several researches on playing styles of computer players in Artificial Intelligence research in recent years. This study proposes a method to give a computer player an intended playing style in shogi. We focus on playing styles that can be identified in an automated manner. We select a set of game records played by players having the intended playing style, based on statistical analysis proposed in existing researches. Then, we conduct a supervised learning of an evaluation function by using the selected records. The preference on attack or defense moves is used as an example of a playing style, because many moves in shogi are categorized in attack or defense. We implemented our method in shogi and evaluated the playing strength as well as how well an intended style is reproduced in self-play experiments. It is shown that learned evaluation functions have an intended playing style and that the playing strength is about 40% against original program.
著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-34, no.6, pp.1-7, 2015-06-27

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている.本研究では,将棋の指し手の選択に注目し,コンピュータプログラムで棋風を実現する方法について提案する.棋風としては,プレイヤが攻めや受けなど特徴を持つ指し手を選ぶ傾向についてに着目する.棋風を統計的に分析した過去の研究を参考に攻めの特徴と受けの特徴を決め,攻めと受けの棋風について,それぞれの特徴の現れているプレイヤの棋譜を選別する.そしてそれらの棋譜を教師に評価関数の機械学習を行う.提案手法で学習したプログラムと,一般の棋譜で学習したプログラムの差を,攻めと受けに関する次の一手問題を題材に評価する予定である.