著者
大段 秀記
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.159-166, 2022 (Released:2023-02-10)
参考文献数
13

暖地二毛作水田での乾田直播栽培において効果的に雑草防除を行うためには,乾田期間に播種後土壌処理剤と入水前茎葉処理剤の2回処理が必要であるが,より省力的な防除技術の開発が求められている。そこで本研究では,播種後土壌処理剤のプロメトリン・ベンチオカーブ乳剤(以下PB剤)とトリフルラリン乳剤(以下T剤)の混用処理による1回防除体系を検討した。試験は2019年~2021年の3か年実施した。2019年と2021年は適度な降雨があったが,2020年は播種前後が極端に乾燥した年であった。3か年の試験を通して,播種後3日目~10日目にPB剤とT剤を混用処理すると,イネ科雑草及び広葉雑草に対して安定して高い除草効果を得られることが明らかとなった。PB剤は1葉期までのノビエに登録があることから,処理時期を播種後3日目以降とすることで初期発生のイネ科雑草を枯殺するとともに,T剤との混用により土壌処理効果が安定すると考えられた。処理時期が遅いほど高い除草効果が得られ,イネへの顕著な薬害は認められなかったものの,イネの出芽が始まるまでに処理する必要がある。残草が少ない場合には入水前茎葉処理剤の処理を省略でき,省力化が可能である。
著者
小荒井 晃 住吉 正 大段 秀記
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.183-192, 2010

飼料用イネの暖地向けを含む14品種について,暖地ですでに広く普及しているか,あるいは今後普及が見込まれる13除草剤に対する感受性を検討し,「ミズホチカラ」および「モミロマン」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤,「ルリアオバ」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤およびテフリルトリオン・フェントラザミド水和剤の処理により,白化症状を引き起こし,標準使用量でも枯死を伴う強い薬害が生じた.上記品種は,それ以外の11除草剤の処理では強い薬害は生じなかった.一方,上記品種以外の11品種は,いずれの除草剤でも強い薬害は生じなかった.薬害は,その症状より,トリケトン系の化学構造をもつ4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD)阻害型除草成分のベンゾビシクロンおよびテフリルトリオンが主因と推察された.したがって,混合成分による相互作用の影響などについては,さらに検討する必要があるが,「ミズホチカラ」,「モミロマン」および「ルリアオバ」の栽培にあたっては,ベンゾビシクロン,テフリルトリオンなどトリケトン系の4-HPPD阻害型除草成分を含有する除草剤の使用は避けるように,除草剤を選択することが重要である.