著者
小荒井 晃 住吉 正 大段 秀記
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.183-192, 2010

飼料用イネの暖地向けを含む14品種について,暖地ですでに広く普及しているか,あるいは今後普及が見込まれる13除草剤に対する感受性を検討し,「ミズホチカラ」および「モミロマン」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤,「ルリアオバ」はカフェンストロール・ベンスルフロンメチル・ベンゾビシクロン粒剤およびテフリルトリオン・フェントラザミド水和剤の処理により,白化症状を引き起こし,標準使用量でも枯死を伴う強い薬害が生じた.上記品種は,それ以外の11除草剤の処理では強い薬害は生じなかった.一方,上記品種以外の11品種は,いずれの除草剤でも強い薬害は生じなかった.薬害は,その症状より,トリケトン系の化学構造をもつ4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD)阻害型除草成分のベンゾビシクロンおよびテフリルトリオンが主因と推察された.したがって,混合成分による相互作用の影響などについては,さらに検討する必要があるが,「ミズホチカラ」,「モミロマン」および「ルリアオバ」の栽培にあたっては,ベンゾビシクロン,テフリルトリオンなどトリケトン系の4-HPPD阻害型除草成分を含有する除草剤の使用は避けるように,除草剤を選択することが重要である.
著者
小荒井 晃 芝山 秀次郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.5-12, 2001-03-30
被引用文献数
3

水田における数種一年生雑草について, 代かき時期別に発生本数, 発生消長および出芽深度を調査した。4月から6月までの期間では, 代かき時期が遅れるほど雑草の発生本数は増加した。ヒメミソハギおよびタマガヤツリは, 6月以降も発生本数は増加したが, コナギ, アゼナ類, ミゾハコベおよびキカシグサは, 7月になって発生本数が減少した。いずれの草種も, 主として出芽深度が土壌表層の5.0mmまでに限られており, 例外的には7.0mmまでの深度からも発生した。タマガヤツリの出芽深度は他の草種よりも深く, 5.0〜7.0mmの土層からも多く発生した。発生本数が多かった6月および7月代かき区では, 3.0mmまでの土壌表層からの発生本数が多かったが, 3.0mmより深い層からの発生本数については, 代かき時期による差異は認められなかった。また, 最大出芽深度も, 代かき時期によって大きく変化しなかった。