著者
大江 昌子 武 聖子 山内 常代 畠 健一
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.37, 2015

宝石市場は高額なハイジュエリー、一般的なジュエリー、ファッション性を重視したジュエリー、そしてお守り的な色彩を強く打ち出したパワーストーンが市場を賑わしている。<br> ジュエリー市場はステータス性、資産性、ファッション性、そして信仰的なお守りとしてのジュエリーが混とんとした状態の中にある。<br> 一方、世界視野に立ち、日本の宝石市場を見た時、日本の宝石市場は黎明期、発展期を経て、まさに成熟期を迎えている。<br> 一番に成熟期を迎えたのはヨーロッパ、そしてアメリカ、東洋では日本が最初である。世界の宝石を集めた日本は、鑑別技術を著しく向上し、鑑別技術についてはトップレベルにある。<br> しかし、残念乍ら、日本における宝飾文化の研究、そして普及は、ヨーロッパ、アメリカに遠く及ばない。<br> 日本の宝飾市場において、確かな宝飾文化の普及は、成熟期を迎えた今、大切な課題である。<br> ハイジュエリー、ジュエリー、ジュエリーアクセサリー、パワーストーンはすべて大地、地球の美しい創造物である。違いは一つ、品質の良し悪しによる商品価値の違いである。背景にある歴史的な宝の石、宝石の存在価値は同じである。<br> 歴史の流れとともに時代が求めるニーズとして、宝石はお守り、信仰、ステータス、財産、おしゃれそしてパワーストーンとして身を飾ってきた。しかし、精神文化における宝石の本質はお守りである。お守りとしての歴史の変遷を年表としてまとめたので報告する。