著者
大沢 遼平 五味 馨 松岡 譲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_201-I_209, 2014 (Released:2014-12-12)
参考文献数
30

今後,人口増加と経済発展が見込まれる東南アジアの新興国のうち,特にインドネシアにおいてはその人口規模の大きさと森林面積の広さ,バイオ燃料の生産ポテンシャルを含む農業生産の高さなどから将来のGHG排出量増加とその抑制とが世界的な温暖化緩和において重要になると考えられている.このような人口・経済ともに成長中で今後の食料とエネルギー需要の増加が見込まれ,かつ,農林業・土地利用部門からのGHG排出量の割合が比較的高い地域で低炭素社会を構築するため,本研究では社会経済発展の想定を取り込み,エネルギー・農業・土地利用の各部門を統合的に考慮した低炭素社会シナリオの構築手法を開発した.これを2020年及び2050年のインドネシアに適用し,低炭素対策を導入しないBaU及び低炭素対策の違いにより三通りの対策(CM)シナリオを構築し,総合的な低炭素社会シナリオの中で、燃料作物栽培のための土地利用転換による排出も含むバイオ燃料の利用による正味の効果を考慮する例を示した.