著者
大泊 厳
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

半導体/絶縁膜界面評価手段として、結晶模型を作り評価することを提唱した。この結晶模型は原子を表す球と結合を表す棒によって構成されたものである。さらにこのモデルからの座標をコンピュータに入力し、Keatingエネルギーを用いてエネルギー緩和を行う。界面を評価するには、界面部分の模型を作成し、界面を構成する原子のKeatingポテンシャルの大きさから評価を行う。まず(100)(110)(111)などの低指数面を界面とした場合の評価の結果、(111),(110),(100)の順にエネルギーが低くまた安定であることが明らかとなった。また(100)面を界面とする場合何通りかの界面の形状を変化させて評価したところ(111)面で囲まれたピラミッド状の界面が安定であり、XPSでの結果も説明することができることから、この界面形状に近い形をしていることがわかった。次に分子軌道法の一種であるDV-Xa法を用いて界面の評価を行った。それによれば界面を構成する原子の各軌道のエネルギーが求まり、界面の酸化反応を電子論的立場から考察することができる。この結果、酸化反応は界面からではなく結晶内部から起こることがわかった。最後に横方向固相成長法によるSOI構造では絶縁膜上に半導体結晶を形勢するため、酸化による界面とは違った性質の界面となる。成長先端ではc-Si,a-Si,a-SiO_2の三相境界となるが、ここでの各原子のひずみポテンシャルから、微小双晶の発生が説明できる。また界面に微小双晶が発生することも(111)面が安定であることから説明できる。さらに、絶縁膜としてSiNを用いたい為である。これは結晶模型からの評価と一致する結論である。以上のように結晶模型による解析と実際観測される結果が一致することから、モデルによる解析の妥当性が示された。