著者
藤田 信吾 大澤 雅子 稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00089, (Released:2023-03-07)
被引用文献数
1

スイカ赤肉大玉品種‘祭ばやし777’の熟度における,色,カロテノイド含量,一重項酸素消去活性の変化を調査した.色の変化について,授粉後30日までL*値は低下, a*値は上昇したことから,果肉色は急激に赤黒くなり,授粉後40日から50日にかけてL*値は上昇したことから,やや退色したことが予測できた.カロテノイド含量について,授粉後20日から30日にかけてリコぺン含量は増加し,授粉後30日から40日で高い値を示し,50日にかけて減少した.β-カロテン含量は,授粉後日数に伴い増加し続けた.SOAC法で測定した一重項酸素消去活性について,授粉後20日から30日にかけて上昇し,授粉後30日で最も高い値(12.55 µmol α-トコフェロール当量/ mL)を示し,50日にかけて低下した.カロテノイド含量と色に関する項目(L*値,a*値,b*値,a*/b*値)との単相関分析を行ったところ,リコペン含量とa*値との相関は0.898であった.カロテノイド含量は一重項酸素消去活性と密接な関係が報告されているが,本試験においても同様の傾向を確認した.リコペン含量が減少し,β-カロテン含量が増加する授粉後20日から40日における,a*値と一重項酸素消去活性との相関は0.940であり,回帰式y = 0.9761x-13.626 (R2=0.8838)が得られた.以上の結果から,‘祭ばやし777’において,果汁色の測定から一重項酸素消去活性が予測可能であると示唆された.