著者
稲熊 隆博 太田 英明
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-5, 2009 (Released:2011-03-05)
著者
稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.263-273, 2015-06-15 (Released:2015-07-31)
参考文献数
40
被引用文献数
2 3

Carotenoids are known to be superior quenchers of singlet oxygen. Thus, carotenoids, which are present in various vegetables, are widely thought to exert many health benefits and anti-aging effects. This study investigated the health effects of carotenoid and carotenoid-rich vegetable intake at each stage of life. Among carotenoids, the use of lycopene can be cost-prohibitive. Thus, attempts were made to extract lycopene from tomato skin using SC-CO2 (supercritical-carbon dioxide). Further, the carotenoid content, a potential antioxidant source, of 70 vegetables in Japan was determined by reversed-phase HPLC. These results were applied to the development of carrot juice and space food. Additionally, a new assay method to quantify the singlet oxygen absorption capacity (SOAC) of antioxidants, including carotenoids, and vegetable extracts was proposed.
著者
古井 博康 稲熊 隆博 石黒 幸雄 木曽 真
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.777-782, 1997-08-01 (Released:2009-02-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

1.トマチンの簡易的定量方法の確立を目的として,吸光度を用いた測定方法を検討した.他に報告のある測定方法(HPLC法, GC法,バイオアッセイ法)による値を指標に,試料の調製法を検討した結果,あらゆるステージでのトマチン含量測定が可能になり,吸光度法の有効性が確認できた. 2.新しい吸光度法を用いて,栽培種トマト中のトマチン含量を調査した結果,果実では,緑熟期で16.5mg/100gFW,催色期で4.4mg/100gFW,完熟期で0.3mg/100gFWと,登熟過程において急激に減少することが確認された.また,果実(完熟期)においても,果肉部に比べ,表面の皮部や種子の周りのゼリー部にトマチンが多く分布する傾向が認められた. 3.トマト植物全体におけるトマチンの分布状態を調査したところ,果実,茎,根の器官に比べ,花や葉の器官に多く含まれることが確認された. 4.品種間におけるトマチン量の差について調査した結果,栽培種に比べ,病気に対する抵抗性の強い野生種であるL. pimpinellifolium, L. peruvianum, L. hirsutumのほうが,トマチン含量が多いことが認められた. 5.トマチンの分布状態が植物全体では一定でなく,器官,ステージ,品種の差によって含量に差が現われることから,トマチンがトマトの生態防御機構に関係を有していることが考えられた.本研究を行なうにあたり,終始ご指導,ご鞭撻を賜りました,東京大学名誉教授中村道徳先生,お茶の水女子大学名誉教授福場博保先生に深く感謝致します.
著者
芳本 信子 村上 洋子 菅沼 大行 稲熊 隆博 永田 豊 宮地 栄一
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-28, 2003-05-29

抗酸化能が認められているリコピンをMndマウスに経口投与して発育に伴う中枢神経組織内のSODおよびCO活性の変動を測定した.そして,非Mnd対照マウスの測定結果と対応させながら,Mndマウスにおける運動傷害の原因因子の検討を行った.1.遺伝的神経変性疾患モデル動物であるMndマウスの脳および脊髄組織内SOD活性値は,発育に伴い徐々に減少したが,リコピンを経口投与したMndマウスは,酵素活性の回復傾向がみられた.これは,抗酸化能が認められているリコピンが,Mndマウス脳の成長段階で産生される細胞毒性の酸素フリーラジカルを消去することが示唆された.2.Mndマウス大脳皮質組織内で,好気的エネルギー産生に関与するCO活性はマウスの発育にともなって次第に減少したが,リコピンを連続経口投与することによって細胞傷害性のO_2-基を中和して,正常なエネルギー産生代謝の回復が認められた.従って,神経変性が持続的に進行するMndマウスの中枢神経組織内では,リコピンの連続投与は細胞毒性を示す活性酸素基を消去する抗酸化作用を助けて,エネルギー産生代謝系に作用して神経変性の進行を阻害し,症状の発現を遅延させる効果を有することが確認された.
著者
横田 正 大嶽 徹朗 鈴木 里英 衛藤 英男 大嶋 俊二 稲熊 隆博 石黒 幸雄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 45 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.449-454, 2003-09-01 (Released:2017-08-18)

Lycopene has aroused public interest owing to its role in preventing oxidative damage, cancer and aging, etc. These activities are considered to be due to its high ability of scavenging active oxygen species. In the present work, we have examined the products formed by the photosensitized oxygenation, hydrogen peroxide oxidation, m-chloroperbenzoic acid (mCPBA) oxidation and peroxinitrite oxidation of lycopene. We also isolated two oxygenated lycopenes with a novel five-membered ring end-group from tomato puree. In photosensitized oxygenation (singlet oxygen oxidation), we isolated apo-6'-lycopenal and 6-methyl-5-hepten-2-one. The reaction is supposed to proceed via 1,2 addition of singlet oxygen to 5,6 double bond of lycopene. In hydrogen peroxide and m CPBA oxidation, we isolated oxygenated lycopenes with a novel five-membered ring end-group (2,6-cyclolycopene-1,5-diol, 2,6-cyclolycopene-1,5-epoxide, 1,16-didehydro-2,6-cyclolycopene-5-ol and 1-methoxy-2,6-cyclolycopene-5-ol). It is proposed that the formation for these compounds occurs by rearrangement of lycopene 5,6-epoxide. In peroxinirite oxidation, we could classify the products into three types, 1) oxidative cleavage products, 2) non-cleavage oxidative products that have C40 carbon skeleton, and 3) Z-isomers of lycopene. The reaction pathways to form these compounds will be discussed.
著者
秦 小明 加藤 宏治 山内 亮 相澤 宏一 稲熊 隆博
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.83-88, 1999-12-27

クコ果実より,冷水及び熱水にて多糖成分Cp(冷水抽出多糖)及びHp(熱水抽出多糖)を抽出した。それらをDEAE-セルロースカラム(HCO^-_3型)に供したところ,Cpは3つの両分(Cp-1, Cp-2及びCp-3)を,Hpは4つの両分(Hp-0,Hp-2,Hp-3及びHp-4)を与えた。得られた各面分の性質及び化学組成を検討した結果から,クコ果実に含まれる多糖成分は主にアラバン,グルカン,アラビノガラクタン及びペクチン質多糖であることが示唆された。
著者
矢賀部 隆史 宮下 達也 吉田 和敬 稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.5, pp.256-261, 2013 (Released:2013-05-10)
参考文献数
60
被引用文献数
2 1

野菜や果物は栄養学上「体の調子を整えるもの」として,ビタミン,ミネラルの重要な供給源であるが,これら栄養成分の他にも,ファイトケミカルと呼ばれる「健康によい影響を与える」化合物が微量含まれている.中でも,天然の色素であるカロテノイドは,経口摂取すると吸収,運搬され,様々な組織に蓄積する.カロテノイドは,そのプロビタミンAとしての作用や活性酸素を消去する抗酸化作用から,多くの疾病の予防や改善への効果が期待されてきた.本総説では,野菜や果物に含まれている主なカロテノイドである,リコピン,β-カロテン,ルテイン,ゼアキサンチン,β-クリプトキサンチン,カプサンチンについて,それぞれ特にエビデンスが蓄積し,予防や改善が確かになりつつある疾病への効果について,最近の疫学研究の成果を中心に紹介する.
著者
藤田 信吾 大澤 雅子 稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00089, (Released:2023-03-07)
被引用文献数
1

スイカ赤肉大玉品種‘祭ばやし777’の熟度における,色,カロテノイド含量,一重項酸素消去活性の変化を調査した.色の変化について,授粉後30日までL*値は低下, a*値は上昇したことから,果肉色は急激に赤黒くなり,授粉後40日から50日にかけてL*値は上昇したことから,やや退色したことが予測できた.カロテノイド含量について,授粉後20日から30日にかけてリコぺン含量は増加し,授粉後30日から40日で高い値を示し,50日にかけて減少した.β-カロテン含量は,授粉後日数に伴い増加し続けた.SOAC法で測定した一重項酸素消去活性について,授粉後20日から30日にかけて上昇し,授粉後30日で最も高い値(12.55 µmol α-トコフェロール当量/ mL)を示し,50日にかけて低下した.カロテノイド含量と色に関する項目(L*値,a*値,b*値,a*/b*値)との単相関分析を行ったところ,リコペン含量とa*値との相関は0.898であった.カロテノイド含量は一重項酸素消去活性と密接な関係が報告されているが,本試験においても同様の傾向を確認した.リコペン含量が減少し,β-カロテン含量が増加する授粉後20日から40日における,a*値と一重項酸素消去活性との相関は0.940であり,回帰式y = 0.9761x-13.626 (R2=0.8838)が得られた.以上の結果から,‘祭ばやし777’において,果汁色の測定から一重項酸素消去活性が予測可能であると示唆された.
著者
稲熊 隆博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-21-00114, (Released:2023-02-03)

令和元年における農業総産出額は, 8兆8 938億円となったが, その農業総産出額のうち, 多い順位として, 畜産が第1位であり, 第2位に野菜, 第3位に米となった. そして, 果実は第4位と続いた. その産出額は8 339億円であり, 農業総産出額の約1割を占めることになった. 主要品目はうんしゅうみかん, りんご, ぶどうであり, それらの産出額の合計は, 果実産出額の50 %を超えている。近年、異常気象による台風や大雨、大風、それらによる川の氾濫などにより、うんしゅうみかんやリンゴの産地や地域に大きな被害が出ているとの報道がなされている. 果実の生産は, 果実生産の農家だけに負担させるのではなく, 果汁生産業者や果汁消費者まで含めたエシカルな生産・消費が求められているのかもしれない. 果実生産の産地や地域の現状を直接, 現場の方にお聞きした. 日本における果実生産の現状を知り, 今後果実生産への協力や応援につながれば幸いである.
著者
大矢 智子 熊田 早紀 明神 千穂 庄子 佳文子 稲熊 隆博 山口 智子 高村 仁知 的場 輝佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.118, 2004

【目的】野菜類には活性酸素・フリーラジカルを消去し、ガンや生活習慣病を予防するポリフェノールやアスコルビン酸などの成分が多く含まれている。野菜は生食するよりも加熱調理した方が、より多く摂取することができる。本研究では、イタリアの代表的な野菜料理であるミネストローネを取り上げ、その調理過程におけるラジカル捕捉活性の変化について、アスコルビン酸量と総ポリフェノール量の変化と併せて検討した。また、加熱方法による違いについても検討した。<br>【方法】トマト・キャベツ・タマネギ・ズッキーニ・ナスを素材とし、調味料としてコンソメ・塩・コショウを用いたミネストローネを、ガスコンロおよび電子レンジで調理した。調理前後の素材とスープについて、ラジカル捕捉活性をDPPH-HPLC法により、総ポリフェノール量をFolin-Ciocalteu法により、アスコルビン酸量をHPLC法により測定した。<br>【結果】調理後のミネストローネのラジカル捕捉活性は、生の素材に比べて約80%に減少した。また、ミネストローネのアスコルビン酸量は生の素材に比べて約45%に減少したが、総ポリフェノール量は約85%残存していた。活性成分の約半分はスープ中に存在していた。5種類の素材の中で、トマトにおいてラジカル捕捉活性、アスコルビン酸量、および総ポリフェノール量の変動が大きく、最も加熱による影響を受けやすい野菜であることがわかった。ガスおよび電子レンジによる加熱を比較した結果、両者の違いはほとんどみられなかった。現在、個々の野菜に対する各調味料の影響を検討中である。
著者
芳本 信子 吉川 祐子 吉田 久江 菅沼 大行 山根 理学 稲熊 隆博 内藤 敬子 内藤 耕太郎
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-7, 2007-03-31 (Released:2019-07-01)

トマトやすいかに含まれ, 強い抗酸化作用を有するリコピンの摂取が, 2型糖尿病患者の酸化障害を軽減する可能性を考慮して血糖値, 特に糖化ヘモグロビン(HbA1c)の変動に及ぼす影響を検討した.リコピン摂取前平均7.9%であったHbA1cは, 摂取1年後には6.8%に低下し改善が認められた.2型糖尿病患者の高血糖による弊害をコントロールする1つの方法としてリコピンの含まれている食品を継続摂取することの有用性が示唆された.
著者
稲熊 隆博 太田 英明
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-5, 2009-01-15
被引用文献数
1

宇宙日本食の開発は、2002年2月に(社)日本食品科学工学会が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身である、宇宙開発事業団(NASDA)から「宇宙食としての日本食の開発に関する研究」の委託を受けたのが始まりである。(社)日本食品科学工学会を中心に、大学や公的研究機関と日本の食品企業でプロジェクトチームが組織された。開発のための取り組みとして、日本における宇宙食の認証のための規格・基準作り、その運用などがあげられた。現在、それらがまとめられ、JAXA. HP.宇宙日本食(http://iss.jaxa.jp/spacefood/index.html)に提示されている。ただ、当時それらの課題解決のための考え方や進め方がわからなかった。宇宙食の開発およびその現状把握を含め、米国のNASAへ調査することになり、2002年3月にジョンソン宇宙センター(JSC;テキサス州、ヒューストン)とケネディー宇宙センター(KSC;フロリダ州、オーランド)を訪問した。そのときの調査に参加した食品企業である、味の素(株)、日清食品ホールディングス(株)、理研ビタミン(株)、ヤマザキナビスコ(株)、そしてカゴメ(株)と学会関係者、NASDAのメンバーは、「宇宙日本食を創る」という強い意志を確かめ合って、「ドリーム・チーム」と呼ぶことにした。なお、その後「ドリーム・チーム」には、ハウス食品(株)、尾西食品(株)、三井農林(株)、(株)マルハニチロホールディングス、山崎製パン(株)、キューピー(株)、そして新規の容器開発で大日本印刷(株)が加わった。本報告では食品企業における「ドリーム・チーム」の活動についてまとめることにする。
著者
芳本 信子 村上 洋子 菅沼 大行 稲熊 隆博 永田 豊 宮地 栄一
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.23-28, 2003

抗酸化能が認められているリコピンをMndマウスに経口投与して発育に伴う中枢神経組織内のSODおよびCO活性の変動を測定した.そして,非Mnd対照マウスの測定結果と対応させながら,Mndマウスにおける運動傷害の原因因子の検討を行った.1.遺伝的神経変性疾患モデル動物であるMndマウスの脳および脊髄組織内SOD活性値は,発育に伴い徐々に減少したが,リコピンを経口投与したMndマウスは,酵素活性の回復傾向がみられた.これは,抗酸化能が認められているリコピンが,Mndマウス脳の成長段階で産生される細胞毒性の酸素フリーラジカルを消去することが示唆された.2.Mndマウス大脳皮質組織内で,好気的エネルギー産生に関与するCO活性はマウスの発育にともなって次第に減少したが,リコピンを連続経口投与することによって細胞傷害性のO<sub>2</sub>-基を中和して,正常なエネルギー産生代謝の回復が認められた.従って,神経変性が持続的に進行するMndマウスの中枢神経組織内では,リコピンの連続投与は細胞毒性を示す活性酸素基を消去する抗酸化作用を助けて,エネルギー産生代謝系に作用して神経変性の進行を阻害し,症状の発現を遅延させる効果を有することが確認された.