- 著者
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大熊 仁美
鈴木 修
村山 幸照
- 出版者
- 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
- 雑誌
- 関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.97, 2007
【目的】当会では約1年毎に各部門のセラピストの異動があり、毎年4~6月に各部門で技術的な新人教育が実施されている。しかし、訪問業務内では技術的な部分以外でも様々な問題を経験する事が少なくない。今回、過去2年間に報告された訪問業務におけるトラブル・事故を分析し、今後の教育内容について検討した。<BR>【方法】平成17年1月~平成18年12月に当院の訪問リハビリテーション(以下リハ)センター松本地区で発生したヒヤリハット・事故・苦情を、報告書をもとに後方視的に調査した。平成18年12月現在、当センター松本地区のセラピストは理学療法士11名、作業療法士6名、言語聴覚士2名で、職種経験年数1~3年13名、4~6年3名、7~9年3名、訪問経験年数1年12名、2年4名、3年3名である。<BR>【結果】2年間の総訪問件数34292件のうち報告のあったケースは48件であった。内訳は、車両関連が21件(交通事故16件、交通違反2件、交通被害3件)、情報共有(連携)に関する苦情が22件(訪問予定の確認ミス16件、連携不足5件、その他1件)、リハ実施時の事故が5件(歩行時の転倒2件、移乗時の転倒1件、床上動作時の転倒1件、その他1件)であった。交通事故は、82%が午後の時間帯、69%が利用者駐車場、56%がバック時に発生していた。訪問予定の確認ミスは、50%が介入1ヶ月以内の新規の利用者で発生しており、転倒事故は全て介入開始4ヶ月以内に発生していた。また、セラピストの部署異動が行われる12月~3月頃にトラブル・事故が多発する傾向にあり、セラピストの訪問経験が4ヶ月以内の期間で49%、1年以内の期間で82%のトラブル・事故が発生していた。さらに、一人当たり平均14 時間以上の超過勤務となった月にトラブル・事故が多発している傾向を認めた。<BR>【考察】調査結果より、訪問業務に関するトラブル・事故は、職種経験よりも訪問経験の浅さが強く影響していることが示唆され、利用者側のフィールドで実施するという訪問業務の特殊性を考慮した教育を、訪問経験の少ない時期にセラピスト行う必要性が確認された。内容としては、1)過去のトラブル・事故の傾向の把握、2)緊急時の対応(リハ中の事故・急変、車両トラブル、苦情等)、3)接遇、4)在宅でのリスク管理と指導、5)介護保険制度、などの実践に即した教育研修を実施し、周知徹底することが課題であると考える。また、少人数によるグループ管理体制の確立とともに、グループ内でのon the job trainingの内容を具体化し業務の効率化を図り、適切な業務量を維持していく必要性が示唆された。