著者
鈴木 修司 近藤 浩史 古川 顕 河井 健太郎 山本 雅一 平田 公一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.177-185, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
62
被引用文献数
2

非閉塞性腸管虚血(NOMI)は,腸間膜血管に器質的閉塞が存在しないにもかかわらず,腸間膜虚血や腸管壊死を呈する疾患である。1974年Siegelmanらによる血管造影を用いた診断基準がgold standardであったが,最近のmultidetector-row computed tomographyの普及や超音波検査の進歩により腸管虚血を客観的に評価しうる検査法の精度が向上してきたため,新診断基準の確立が望まれている。NOMIは早期に特異的な症候はなく,重症化して診断されるため,一般に予後不良である。NOMIと診断されれば,腹膜刺激症状がない場合は血管拡張薬血管内投与の適応となるが,腹膜刺激症状をきたし,腸管壊死が疑われる場合には外科手術が必要であり,NOMIの診断の標準化と治療の新たなアルゴリズムの構築が望まれる。
著者
大野 久雄 鈴木 修 楠 研一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.101-112, 1996-02-29
参考文献数
42
被引用文献数
21

「1981年6月から1994年9月までの13年間に日本全国で25件のダウンバースト事例と総数75のダウンバーストが発生したこと」を確認し, 一覧表の形でデータベースを作成した. 発生したダウンバーストの統計的特性を同データベースに基づいて調べた結果, ダウンバーストの発生の実態として, (1)すべてがウエット・ダウンバーストであること, (2)ダウンバーストは, 北海道から沖縄まで広く発生していること, (3)ダウンバーストは6月から9月に多く, 中でも7月に集中していること, (4)発生時間帯は11時から21時で, 15時と18時に発生頻度の極大があること, (5)同一事例中でダウンバーストが複数発生するのが一般的であること, (6)ダウンバーストからの吹き出しが地上付近にもたらす突風の風速は69m/s以下で, 最大風速時における吹き出しの水平スケールは10 km以下であること, (7)降雹を伴わないダウンバーストの場合, 突風の強さと水平スケールは様々であるが, 降雹を伴ったダウンバーストの場合, 突風は激しくその水平スケールは小さいこと, (8)日本でもダウンバーストは相当数発生していると考えてよいこと, がわかった.
著者
神谷 知至 本田 孝也 鈴木 修 桐生 恭好 高橋 伸 角本 陽一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.759-765, 1985-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

慢性甲状腺炎・慢性膵炎を合併した原発性胆汁性肝硬変(PBC)の男性症例を報告する.症例は66歳男性,全身倦怠感と肝腫大あるため入院となった.検査成績で血清Al-P値が28.5K-Auと高く,軽度の肝機能障害も示した.血清抗ミトコンドリア抗体および抗甲状腺抗体は陽性であった.免疫二重拡散法にて抗ミトコンドリア抗体のCおよびDが確認されたが,特にDの検出は本邦で初例である.甲状腺生検は慢性甲状腺炎像を呈し,肝楔状生検像は典型的な慢性非化膿性破壊性胆管炎を示した.膵機能は中等度に障害され,ブドウ糖負荷試験は糖尿病型であった.Sicca症候群も後に出現した.結局本症例を慢性甲状腺炎・慢性膵炎・sicca症候群を合併したPBCと診断した.多臓器障害を強く示唆し,しかも今までにほとんど検出されたことがない抗ミトコンドリア抗体Cおよび特にDが認められた男性のPBC例を報告した.
著者
鈴木 修吾
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.67, pp.127-130, 2004-06

私は工学基礎学類を担当している。いまから5年近く前にさかのぼるが、2年生の量子力学序論を担当することになった。講義を持つようになってすぐのことである。私は理論物理が専門なので、自分でも楽しみながらこの講義を受け持った。他にもう一つ、同じく ...
著者
長谷 幸 鈴木 修武 大立 真理子 鈴木 繁男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.248-256, 1973-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
8 13

はちみつ中のHMFの加熱および貯蔵による変化について検討した。(1) 加熱処理の際,50℃では24時間,60℃では10時間では,HMFの増加はほとんどなかった。(2) 加熱によるHMFの変化は,はちみつの種類によって差があって,pHの低い緩衝性の少ない品質のはちみつはHMFの生成量が大きい。(3) 10℃以下の貯蔵ではほとんどHMFの変化はなく,むしろ減少傾向があった。室温(5~10月)でも増加の程度は少なく,36℃貯蔵では相当増加する。(4) 貯蔵中のHMFの変化の程度もはちみつの種類や品質によって差がある。国産れんげはちみつは,輸入はちみつよりも増加率が少なかった。(5) はちみつ中にあらかじめHMFを添加して,室温と36℃で貯蔵した。室温では減少し,36℃では始めは減少し,あとは徐々に増加した。(6) クエン酸添加によりHMFの生成量は多くなり,温度が高いとその傾向が大きい。(7) プロリン,第2鉄塩の添加による,貯蔵中のHMFの変化へ与える影響はほとんどなかった。
著者
鷹野 敦史 安留 道也 鈴木 修 井上 慎吾 藤井 秀樹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.421-424, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
12

症例は42歳,女性.平成19年9月(月経2日目)に腹痛を主訴に当院を受診し,腹部CTで小腸の拡張と腫瘤性病変が認められ,腸閉塞の診断で入院となった.保存的治療施行後,入院8日目の腹部CTで腫瘤性病変は消失し腸閉塞の所見も認められないため一時退院となった.平成20年1月(月経2日目)に再び腸閉塞で再入院し,月経時に繰り返す腸閉塞とCTで認められる腫瘤性病変から異所性子宮内膜症が疑われた.MRIでも子宮内膜症を疑わせる腫瘤性病変が認められた.平成20年3月(月経3日目)に3度目の腸閉塞を発症し,開腹手術を行った.回腸末端に炎症性の癒着が存在し,小腸部分切除術を施行した.また5mm大の白色結節が口側腸管に散在していた.病理組織検査では子宮内膜症の診断であった.月経時に繰り返す腸閉塞と画像診断で術前より異所性子宮内膜症を疑った1例を経験したので報告する.
著者
大野 久雄 鈴木 修 韮澤 浩 吉崎 正憲 長谷川 直之 田中 芳男 村松 良夫 小倉 義光
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.197-222, 1994-04-25
被引用文献数
13

太平洋高気圧の北辺に位置する岡山地方で1991年6月27日午後発生した雷雨嵐は同地方に激しい雨や雷および強い突風をもたらせた。中でも岡山市の北東部で発生した突風は特に強く、単体では51m/sの風に耐えられるコンクリート製電柱18本を倒壊させた。この研究は、電柱の倒壊をもたらせた突風の原因を調べるために始められた。利用可能なすべてのデータが集められ、解析された。データ源は、通常レーダー、気象庁のシステム、密に展開された自治体の大気汚染監視用風向風速計、民間航空機、テレビ局のビデオ画像、被害調査結果等と多岐にわたった。これらを複合利用してメソ解析を行った結果、少なくとも4つのダウンバースト(マイクロバーストとマクロバーストの両方)の発生が明らかになった。電柱を倒壊させたのはそのうちの1つで、雷を伴っていた。当時大気成層は、湿マイクロバーストを発生させるのに適したもので、Atkins and Wakimoto(1991)が報告した米国北アラバマの事例と類似していた。また、ダウンバースト発生の潜在的危険性が太平洋高気圧の北辺にあるとの指摘がなされた。
著者
村上 祐貴 大下 英吉 鈴木 修一 堤 知明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.631-649, 2008 (Released:2008-12-19)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

本研究では,曲げ破壊先行型RC梁部材において鉄筋腐食が残存耐力性状に及ぼす影響評価を実施するため,主鉄筋の応力伝達や抜出し抑制に対するせん断補強筋や定着筋の効果に着目した実験を実施した.引張主鉄筋が比較的均一に腐食した場合,せん断補強筋の定着領域の残存量が十分であれば,その拘束により引張主鉄筋の付着が保持され曲げ破壊を呈する.一方,せん断補強筋の定着領域がその性能を発揮できない程に過度に腐食した場合には主鉄筋の定着領域まで荷重が伝達され,主鉄筋の定着性能が残存耐力性状に極めて支配的な影響を及ぼす.また,作用モーメントの大きい領域で主鉄筋が局所的に腐食を生じた場合,その領域において変形が局在化し,せん断補強筋の腐食程度によらず曲げ破壊性状を示すことが明らかとなった.
著者
中原 晋 足立 加那 鈴木 修 山本 佳史 竹中 幸則 安井 俊道 花本 敦 福角 隆仁 道場 隆博 瀬尾 雄二 礒橋 文明 吉岡 靖生 小川 和彦 猪原 秀典
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.452-457, 2015-12-25 (Released:2016-01-16)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

ルビエールリンパ節 (RLN) とは外側咽頭後リンパ節のことであり,頭頸部癌からしばしば転移をきたす。今回,RLN転移を認めた頭頸部扁平上皮癌のうち2003年から2012年の間に治療した19例について検討を行った。後発転移病変の治療として当科ではサイバーナイフ (CK) を利用することが多いため,特にその効果に着目した。CKを施行していたのは7例であり施行後の短期奏効率は100%であったが,長期においては再発や出血をきたす症例もありRLN制御率や生存率に関してはCKの効果が高いとはいえなかった。一方,RLN制御に影響を与える因子の検討では「年齢」が有意差を認め,高齢になるほど制御良好であるという結果であった。RLN転移病変に対しては全例放射線中心の治療を施行していたが,全体の2年全生存率が55%と過去の報告と同程度であり,放射線治療でも手術と同等の治療効果が期待できると思われた。
著者
鈴木 修
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.66-81, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
24

「探索」と「活用」のバランスを考察するために,携帯電話端末のプラットフォーム・モデルと派生モデルの開発を題材に分析を実施した.プラットフォーム・モデル,派生モデルの双方で競合組織を上回る開発効率が実現されている組織が存在し,これらの組織ではプラットフォームに付随するリスクが適確に管理されていることが示された.「探索」と「活用」のバランスの観点から,プラットフォーム戦略に関する示唆が得られた.
著者
高谷 美正 鈴木 修 山内 洋 中里 真久 猪上 華子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1037-1054, 2011-12-31
被引用文献数
2

2007年4月28日午後,関東地方は雷雨・突風・降雹を伴う大荒れの天気となり,各地で被害が相次いだ.この事例について,ドップラーレーダー,高層気象観測,ウィンドプロファイラー,地上気象観測の各データおよび被害調査等から解析を行った結果以下のことがわかった.(1)被害をもたらした降水システムは,ボウエコー(弓形のエコー)の特徴を備えていた.(2)レーダーのデュアル解析により,このボウエコーの先端部分に鉛直渦度と水平収束の大きい領域が解析された.この領域の形状と振る舞いは先行研究のサイクロニックなメソサイクロンと良く似た特徴を持っていた.この領域は当初中空(地上2〜4km)に浮いていたが,その後その南西端が地上付近に垂れ下がるような形状となった.この時にその足付近で,低層のPPIデータにマイソサイクロンが2つ検出され,これらは鉛直渦度と水平収束の大きい領域とともに東南東に移動した.(3)2つのマイソサイクロンの内,より南側を通過したマイソサイクロンが,東京湾岸地帯の約18kmにわたる直線上の複数の場所に突風被害をもたらした.低層のPPIデータによる見積りでは,被害場所は,渦の風と渦の移動速度が線形の重ね合わせによって強め合う場所で起きており,風速は最大40ms^<-1>ほどに達したと見積もられる.(4)サイクロニックなメソサイクロンの発生機構として,先行研究の数値実験において,「下降域内を下降する空気塊が,ガストフロントをまたぐ傾圧帯において傾圧効果により水平渦を獲得する.その水平渦がガストフロントに沿って存在する上昇流によって上方に傾けられて鉛直渦度を獲得し,更に延伸することにより鉛直渦度が強められる」というものが挙げられている.この発生機構が実際に働いていることを示唆する解析結果が得られた.(5)被害が最初に起きた時刻の約10分前に,仰角の高いドップラーデータで見ると,ボウエコーの先端部分において動径風の収束が強まっていた.これはマイソサイクロンの前兆現象として突風の直前予報に役立つと思われる.
著者
鈴木 修次
出版者
中国中世文学会
雑誌
中国中世文学研究 (ISSN:05780942)
巻号頁・発行日
no.3, pp.8-21, 1963-03-31

It is rather surprising that we often come across immoral literary taste in the poetry, chiefly anonymous, of the Han Wei period. It shows itself in calumnies against the effort that everybody should make or against moral feelings, in a comparative description between one's former and present wives, in unsympathetic words on the death of one's friend, and in many other instances of a similar vein. Such immoral literary taste, unknown in Shih Ching (詩経) , is traced back in poetry to early songs and poems.
著者
鈴木 修
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.47-61, 2022-12-20 (Released:2023-12-23)
参考文献数
54

It often is assumed that cognition of decision makers mediates influences of organizational slack on various phenomena observed at organizations, including innovation, risk taking, and organizational growth. However, the mediating role played by managerial cognition per se is rarely examined empirically. Accordingly, irrespective of rich empirical support for associations between organizational slack and various organizational phenomena, we have yet fully understood underlying mechanisms of influences of organizational slack. Furthermore, it also is left underexamined whether the association between organizational slack and organizational phenomena is an indication of causal relationships in that the former is an antecedent of the latter. We aim to address this dearth of research by empirically examining whether managerial attention mediates influences of organizational slack on organizational growth. Our empirical analysis of the Japanese textile industry between 2004 and 2020 shows that attention of decision makers on external issues mediates the relationship between organizational slack and organizational growth. Specifically, we show that organizational slack is negatively associated with external attention of decision makers, while the external attention is positively associated with organizational growth. Our analyses address potential endogeneity of organizational slack to provide robust support for the hitherto unvalidated rationale employed by the prior work. The competitive mediation uncovered by our analysis may also help us to explain contradictory influences of organizational slack, or one of the unresolved questions in the research of organizational slack.
著者
宮城 弘守 鈴木 修
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第20回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.28, 2008 (Released:2008-12-03)

北海道室蘭市沖に発生した竜巻の写真を撮影情報を利用して分析し、一箇所から撮影した写真からでも竜巻までの距離や寸法を計測できることを示した。竜巻は沖合い約10.2kmに見える水平線付近に発生していたことなどが分かったが、竜巻等の位置を水平線との小さな角度差から推定するため、撮影高度が低いと精度が低下することに留意する必要がある。
著者
鈴木 修
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.41-53, 2015-07-10 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

Organizational slack is excess resources that influence various organizational phenomena, including adaptation, formation of dominant coalition, political behaviors, centralization, bureaucracy, risk preferences and innovation. As for its influences on organizational performance, however, scholars disagree whether the relationship is positive, negative, or curvilinear. We empirically examined moderating effectes of environmental, as well as organizational characteristics to argue that the form of relationship between organizational slack and organizational performance differs by the degree of environmental variability, search width, and by organizational age. Our analyses of 37 Japanese pharmaceutical firms between 1991 and 2010 (616 firm-years) show that organizational slack more negatively influences organizational performance to the extent that environmental variability or search width increase. Organizational age also moderates the relationship such that older firms enjoy more positive influences of organizational slack while younger firms suffer from more negative influences. The results indicate that we may be able to reconcile mutually contradictory findings in prior work by taking environmental, as well as organizational characteristics into consideration. We also discuss our findings' implications on the relationship between organizational slack and the attention-based view of the firm.
著者
渡辺 浩 落合 浩暢 児玉 栄一 鈴木 修三 武田 功 渡部 則也 小野 重明 海瀬 俊治 西間木 友衛 粕川 禮司
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.385-390, 1992-08-31 (Released:2009-01-22)
参考文献数
22

症例は37歳の女性. 1986年11月日光過敏,蝶形紅斑,抗核抗体陽性,抗DNA抗体陽性から全身面エリテマトーデスと診断され, prednisolone投与を受けた。1989年10月から両下肢脱力感出現し精査加療目的に同年12月当科入院した.抗核抗体2,560倍,抗cardiolipin抗体陽性で,頭部CT上多発性脳梗塞が認められ, PSL 40mg/日の投与を開始した.症状改善傾向にあるも患者は服薬を中止し, 1990年4月退院した.同年5月,両下肢の対麻痺,胸椎11番以下の全知覚障害と膀胱直腸障害が出現し再入院した. aCLは高力価であり,抗リン脂質抗体が強く関与した横断性脊髄障害を合併したものと考え,血漿交換療法,副腎皮質ステロイド剤パルス療法,大量γ-globulin療法,免疫抑制剤投与を行い, aCL価は低下したが,神経症状はほとんど改善しなかった.早期の治療が横断性脊髄障害の諸症状の改善に重要である.
著者
鈴木 修斗 加藤 弘通
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.33-40, 2023-03-24

本論文では、従来の集団外成員の排除に焦点化した仲間集団の排他性について、その概念を見直し、排他的なグループにおけるグループ外の者との関係を阻害する2 つの要因について検討する。一つ目は、グループ外の者がグループ内に入ることを阻害する要因「内関係阻害」、二つ目はグループ内の仲間がグループ外の者と関係をもつことを阻害する要因「外関係阻害」である。排他的な友達グループには内関係阻害と外関係阻害の2 つの阻害要因が関係していると考えられるが、外関係阻害については十分な検討がされていない。そこで本研究では、仲間集団の外関係阻害に関する暫定尺度を開発し、友達グループの外関係阻害の実態を示すことを目的とする。そのために、①項目を作成し、因子構造の検討を行い、②自由記述調査をふまえ、さらにその項目内容について検討した。