著者
庄司 泰雅 大畑 聡 三田 久徳
出版者
千葉県水産研究センター
雑誌
千葉県水産研究センター研究報告 (ISSN:13472534)
巻号頁・発行日
no.2, pp.7-13, 2003-03

1999年5月から2001年5月の間、バイのインポセックス個体が産卵可能であるかを九十九里沿岸及び内房富浦沖のバイトを用いて検討した。使用した材料の個体数は、九十九里沿岸で797個体、富浦沖65個体で、インポセックスを含めた雌雄比は、九十九里沿岸53:47、富浦沖33:32でほぼ1:1であった。殻長63~93mmの範囲において、インポセックスの発生率は、九十九里沿岸でも成東沖で65.4~92.6%、南白亀川沖で85.0~100%と地先により違いが認められた。内房富浦沖では100%であった。九十九里沿岸のバイの殻長とペニス長の関係は、雄個体では殻長に比例してペニスが長くなったが、インポセックス個体では、殻長70mm以上で特に比例関係は認められなかった。殻長70mm以上の生殖腺熟度指数(G.I)は、雄及びインポセックス個体で5~8月に高く、9月以降低下した。正常雌のG.Iが特にインポセックスのG.Iより高い傾向を示さなかった。成東沖の殻長51~59mmのバイでは、5月中旬でも生殖腺の発達は認められなかった。産卵時期の水温が、20℃以下で経過した年は、産卵不調に陥り、個体群の維持に影響すると考えられた。資源管理の面からは殻長60mm、もしくは70mm以上で漁獲するのが望ましい。