554 552 2 0 OA ウバザメの幼魚

著者
伊澤 邦彦 柴田 輝和
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.237-245, 1993-08-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
21

三重県和具のサワラ刺網で1977年5月4日, 特異な形状の吻を持っ全長2.6mの雌のウバザメ1頭が捕獲された.脊椎骨椎体に形成された石灰化輪紋の数から生後6ヵ月以内の, その年の1月頃に生まれた幼魚と推定され, 腹面に溝を備えた長く湾曲した吻はウバザメの幼魚形態と考えられた。この吻の幼魚形態は急速に変化して生後1年 (全長4m) でほぼ消失すると推定された.吻は神経頭蓋の3本の吻軟骨によって支持されており, 生後1年以内に起こる吻の急激な形態変化は吻軟骨の相対成長によって引き起こされると考えられた.吻の幼魚形態は胎児期から誕生後の幼魚期にかけての摂食に関わり, 母胎内では卵食性に関係して, 誕生後の若い幼魚にとっては不十分であろうと考えられる遊泳摂餌能力を補償する口域の拡大あるいは流体力学的な意味で摂食に関与するものと考えられる.